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2025年2月16日

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住宅市場2年連続縮小、持家21万8,132戸・貸家34万2,044戸・分譲22万5,309戸の行方(令和6年計分)

建築着工統計調査報告(令和6年計分)(国交省)

令和6年の新設住宅着工戸数は全国で79万2,098戸となり、前年比で3.4%減少した。これは2年連続の減少となり、住宅市場における停滞感が鮮明になっている。新設住宅の着工床面積も6,086万9,000㎡と前年比5.2%減少し、こちらは3年連続の減少となった。持家、貸家、分譲住宅のいずれも減少し、市場全体の縮小傾向が続いている。

持家の着工数は21万8,132戸で前年比2.8%減、3年連続の減少となった。貸家は34万2,044戸で前年比0.5%減、2年連続の減少。分譲住宅は22万5,309戸で前年比8.5%減となり、特にマンションの着工数が10万2,427戸と前年比5.1%減、一戸建住宅は12万1,191戸で前年比11.7%減少した。住宅需要の落ち込みが顕著に表れた形だ。

地域別にみると、首都圏では総戸数が前年比2.9%減、持家が2.9%減、貸家が横ばい、分譲住宅が6.6%減少した。特に一戸建住宅の落ち込みが10.2%と大きい。中部圏では総戸数が1.4%減、持家が1.3%減、貸家が3.5%減と縮小傾向が続く。一方でマンションは17.6%増加している点が特徴的だ。近畿圏では総戸数が0.5%減、持家が0.6%減、貸家が4.2%増、分譲住宅が7.0%減少した。その他の地域では総戸数が5.7%減、持家が3.7%減、貸家が2.7%減、分譲住宅が16.0%減少し、地方の住宅市場が大きく冷え込んでいることがわかる。

建築工法別に見ると、プレハブ住宅は9万3,077戸で前年比10.0%減、3年連続の減少となった。一方でツーバイフォー工法の住宅は9万5,095戸で前年比4.7%増と3年ぶりの増加を記録した。これは耐震性や施工の効率性が評価された結果とみられる。

建築物全体の着工床面積も減少傾向にある。令和6年の全建築物の着工床面積は1億274万㎡で前年比7.6%減、3年連続の減少となった。公共建築物の着工床面積は468万㎡と前年比1.1%増加したが、民間建築物の着工床面積は9,805万㎡で8.0%減少し、特に非居住用建築物が11.1%減少した点が目立つ。事務所は前年比2.0%増加したものの、店舗が6.5%減、工場が0.2%減、倉庫が23.0%減と、全体的に縮小傾向にある。

このような市場環境の変化は、住宅業界のみならず、建設業界全体にも大きな影響を与えている。人手不足や資材価格の高騰が続く中で、住宅の新規供給が減少することで、今後の住宅市場の回復には時間がかかる可能性がある。特に、地方の住宅市場は需要減少が顕著であり、今後の政策支援が求められる。

企業の採用担当者にとって、このデータは労働市場の動向とも密接に関わる。住宅着工の減少は建設業界の雇用にも影響を及ぼし、労働需要の変動を示唆する指標となる。特に、建築関連の専門職や技能労働者の雇用環境に変化が生じる可能性があり、採用計画の見直しが求められる場面も出てくるだろう。

今後の見通しとしては、金利の動向や住宅ローン市場の変化が大きなカギを握る。政府の住宅政策や補助金制度の活用も含め、住宅市場の回復に向けた取り組みが求められる。特に、若年層の住宅取得支援や地方移住促進策の強化が、需要喚起のポイントとなるだろう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ