2024年11月19日
労務・人事ニュース
住宅火災の19%は電気器具が原因!予防対策を徹底解説する啓発映像が公開
火災予防啓発映像「住宅における電気火災の原因と予防対策」の制作・発表(総務省)
消防庁は、住宅での電気火災リスクを抑えるため、新たな啓発映像「住宅における電気火災の原因と予防対策」を制作・公開しました。これは、電気器具が原因となる火災が年々増加し、特に令和4年には住宅火災件数全体の約19%、つまり10,783件中2,018件が電気器具に起因していた事実に基づいています。こうした状況を背景に、令和5年度には防火安全対策検討会が設けられ、電気火災の原因、発火に至る過程、被害を生む要因が調査されました。調査結果に基づき、国民に具体的な予防策を周知するための映像資料が作成され、消防庁のホームページや全国の消防機関、各種メディアで広く配信されています。
この啓発映像では、電気火災の原因として特に増加傾向にある充電式電池やプラグ・コード類の問題についても詳述されています。充電式電池は、スマートフォンやモバイルバッテリーなどの広範な普及に伴い、発火リスクが高まっています。消防庁の調査では、リチウム電池が捨てられる際に絶縁処理が不十分だと、接触による放電で発火することが判明しています。また、暖房機器の近くで充電したり、落下や水没により内部が損傷した場合にも発火する恐れがあるため、注意が必要です。特に低温下で充電することも、電池の損傷につながり、発火のリスクを高める要因として指摘されています。
次に、家庭で使用するプラグやコード類の適切な管理が強調されています。コードを強く折り曲げたり、踏みつけたりすることが原因で内部の配線が損傷し、その部分が発熱し発火するケースが確認されています。プラグがしっかり差し込まれていない場合も電気抵抗が増加し、プラグが加熱されて火災が発生することがあるため、日常の使用時には注意が必要です。家具の陰に隠れがちな延長コードも、長時間の利用で劣化が進み、たこ足配線やコードを束ねての使用が原因で発熱し、火災を引き起こす可能性があります。こうした危険を防ぐため、コードやプラグの異常が見つかれば、早急に点検・交換することが求められます。
電子レンジなどの家電製品も、誤った使用方法が火災を招く可能性があるため、適切な使用方法が必要です。例えば、長時間の加熱やアルミ素材の容器を使用することでスパークが発生し、火災に至る場合があります。また、内部に油汚れが蓄積していると、急な発火の原因となるため、こまめな清掃が推奨されています。エアコンの清掃時にも、洗浄液が電気配線にかかるとショートして火災が発生する場合があるため、配線部分の扱いには特に注意が必要です。
また、電気火災のリスクとして「トラッキング現象」にも注目が集まっています。プラグを長期間差し込んだままにしておくと、ホコリや湿気が蓄積し、火花放電が発生し、火災が発生する恐れがあることが知られています。この現象は、湿気の多い場所や日頃から手入れが行き届かない場所で特に発生しやすいため、定期的な点検が重要です。
消防庁は、この映像を通じて電気火災のリスクについて国民の理解を深め、予防のための具体的な行動を呼びかけています。例えば、充電式電池を使う際には、取扱説明書をよく読み、ぶつけたり濡らさないよう注意し、異常があれば即座に使用を中止することが奨励されています。また、PSEマークが表示されている安全基準を満たした製品を選び、事故のリスクを抑えることが求められます。こうした日常の小さな配慮が、火災の未然防止につながるとされています。
消防庁は今後も、住宅火災のリスクを減少させるため、適切な情報発信を行い続けるとともに、一般の家庭や企業における安全対策の徹底を促進する意向を示しています。電気器具類による火災の予防は、現代社会においても重要な課題であり、企業の安全担当者や一般家庭においても十分な認識が必要です。消費者もまた、日常的な点検や正しい使用方法を心がけ、火災発生を未然に防ぐ行動が求められています。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ