2025年1月5日
労務・人事ニュース
佐賀県の高齢者雇用、65歳までの措置実施率99.9%を達成(令和6年6月1日時点)
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」集計結果(佐賀労働局)
佐賀労働局が発表した最新の「高年齢者雇用状況等報告」の結果に基づき、高齢者雇用の現状と対策について解説します。この報告では、佐賀県内で従業員21人以上を雇用する企業1,694社を対象に、65歳以上の雇用確保措置や70歳までの就業確保措置の実施状況が調査されました。その結果、ほとんどの企業が65歳までの雇用確保措置を講じていることが明らかになりましたが、70歳までの就業確保措置の実施率には課題が残ることが示されています。
まず、65歳までの高年齢者雇用確保措置に関する実施率は、対象企業の99.9%に達しており、中小企業、大企業を問わず非常に高い水準を維持しています。この措置の内容には、「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」の3つが含まれています。特に、継続雇用制度を採用している企業が全体の63.0%を占めており、これは希望者全員が対象となる仕組みを導入する企業が増加していることを反映しています。一方で、定年の引上げを選択する企業も増加しており、32.9%の企業がこの方法を採用しています。これらの取り組みは、65歳未満の定年年齢を廃止または引き上げることで、雇用の安定を図るものです。
一方、70歳までの就業確保措置の実施率は39.0%と、依然として低い水準に留まっています。この措置には、「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」、さらには「業務委託契約を締結する制度」や「社会貢献事業に従事できる制度」など、雇用以外の選択肢も含まれています。特に、業務委託契約や社会貢献事業への参加制度はまだほとんど導入されていませんが、これらの多様な就業形態の普及が今後の課題となるでしょう。
定年制度の状況をさらに詳しく見ると、65歳以上を定年とする企業(定年制の廃止を含む)は37.0%に増加しており、60歳定年の企業が全体の59.8%を占める一方で、61歳から64歳の範囲を定年とする企業は3.2%に留まっています。これらのデータからも、依然として多くの企業が60歳定年を維持している現状が浮き彫りとなります。
佐賀労働局は、これらの調査結果を踏まえ、生涯現役社会の実現を目指して、必要な指導や助言を継続的に行うとしています。特に、70歳までの就業確保措置の普及が急務であるとされ、今後、労働局やハローワークを通じた支援が強化される見込みです。また、雇用以外の選択肢である社会貢献事業の導入など、新たな取り組みの推進も求められています。
企業にとっても、高年齢者の経験や知識を有効活用することは、労働力不足への対応として重要な戦略となります。多様な就業形態や雇用制度を整備し、働き続けられる環境を構築することは、企業の競争力を高めるだけでなく、地域社会全体の活性化にも寄与するでしょう。今後は、これらの取り組みを通じて、高年齢者の就業機会をさらに広げ、誰もが生涯現役で活躍できる社会の実現を目指す必要があります。
⇒ 詳しくは佐賀労働局のWEBサイトへ