2025年1月1日
労務・人事ニュース
信用保証付き貸出のD.I.が▲10.4に低下 3期連続マイナスの背景と次期予測
信用保証に関する金融機関アンケート調査(2024年度下期調査)(日本公庫)
日本政策金融公庫が発表した2024年下期における中小企業金融の動向に関する調査結果は、現在の信用保証付き融資や創業支援の課題に対する洞察を提供しています。この報告書では、中小企業向け貸出状況、信用保証制度の活用実態、そして創業支援に関する金融機関の取り組みが詳細に分析されています。
中小企業向け貸出D.I.は2.2と横ばいで、4期連続でプラスを維持しています。短期運転資金はやや低下しましたが、設備資金は増加しており、中小企業が特定分野で積極的に資金を活用していることが伺えます。一方、信用保証付き貸出D.I.は▲10.4とやや低下し、3期連続でマイナスとなりましたが、次期の見込みは若干改善する兆しが見られます。
信用保証付き融資に関連して、条件変更D.I.は13.5から12.4に低下しましたが、10期連続でプラスを維持しています。これは、企業が一定の信用保証条件下で資金調達を継続できる環境が整っている一方で、条件緩和の余地が徐々に減少している可能性を示唆しています。また、金融機関から信用保証協会への代位弁済請求D.I.は23.4と低下しましたが、11期連続でプラスを記録しており、信用保証制度が依然として中小企業の支援において重要な役割を果たしていることが分かります。
創業支援に関する調査では、資金ニーズの変化や金融機関が直面する課題についてのデータが注目されます。創業支援の資金ニーズに関して、コロナ禍前と比較して「変わらない」との回答が64.3%で最多ですが、「増加している」との回答も30.6%を占めています。事業面では、既存技術やビジネスモデルを活用した創業が53.2%と高い割合を占めており、事業者面では若者による創業が44.2%で最も多いことが示されました。
金融機関が創業支援の課題として挙げたのは、「融資後のモニタリングやフォローアップ」や「事業リスクの把握」です。特に、新しい技術やビジネスモデルを活用した創業においてはリスクの把握が重要視されています。一方で、金融機関が特に注力している取り組みとしては、販路開拓支援や保証協会との連携による専門家派遣などが挙げられています。これらの取り組みは、創業者が市場での成功を目指すための具体的な支援となっています。
この調査結果から、中小企業の資金調達や創業支援の改善に向けた新たな方向性が見えてきます。金融機関や関連機関は、既存の課題に応えるために、保証付き融資の活用や創業支援におけるリスク管理体制の強化を進めることが求められます。地域ごとのニーズや課題に応じた柔軟な対応が、さらなる創業支援の拡充につながるでしょう。
また、信用保証制度の今後の利用見通しについては「変わらない」との回答が73.6%である一方、「増加する」との回答が24.8%に上ることから、信用保証制度の役割が引き続き重要であることが示されています。このような背景を考慮し、政策金融機関や金融機関は、地域経済の活性化や創業支援の強化を目指し、制度の拡充や利用促進策を検討する必要があるでしょう。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ