2025年1月29日
労務・人事ニュース
個人消費は1.9%増加、設備投資も1.7%回復の兆し 令和6年1月月例経済報告
1月月例経済報告 -景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。-(内閣府)
令和7年1月の月例経済報告によると、日本の景気は依然として緩やかに回復しているものの、一部で足踏みの兆候も見られています。国内の個人消費は持ち直しの動きが確認されていますが、全体として改善のスピードには限界があるとされています。設備投資も同様に回復の兆しを見せていますが、海外経済の下振れリスクや為替相場の影響などにより、先行きの不確実性が残ります。
具体的には、個人消費においては11月の「商業動態統計」によると小売業販売額が前月比で1.9%増加するなど、消費活動における回復基調が確認されています。しかし、消費者マインドは依然として改善に足踏みが見られ、特に新車販売や家電製品の売上は横ばいもしくは停滞気味です。これらの背景には、物価上昇や不安定な国際経済状況が影響していると考えられます。
一方、設備投資は持ち直しの兆しがあり、「法人企業統計季報」では7月から9月期の設備投資が前期比で1.7%増加しています。特に製造業が4.2%の増加を記録し、非製造業も0.5%の増加と全体的にプラスの傾向を示しました。ただし、設備投資計画に関する「日銀短観」の調査では慎重な見通しも見られ、景気の先行きに対する楽観論が抑制されています。
また、公共投資も底堅い推移を続けており、国の令和6年度補正予算において約2.4兆円の追加額が計上されています。この補正予算の執行により、一定の経済刺激効果が期待されていますが、公共工事の受注額や請負金額が前年同月比で減少していることから、成長の原動力としての役割には限界がある可能性が示唆されています。
輸出入に関しては、輸出が横ばいで推移している一方、輸入は持ち直しの動きを見せています。しかし、貿易・サービス収支は依然として赤字であり、11月には赤字幅が縮小したものの、全体としての輸出環境には大きな改善が見られていません。特に中国市場の不動産停滞が、アジア地域への輸出環境に悪影響を及ぼしていることが指摘されています。
雇用情勢については、完全失業率が2.5%と横ばいで推移しているものの、人手不足感は依然として高い水準にあります。正社員求人の増加傾向が確認される一方、パート・アルバイト求人は緩やかな減少が続いています。また、賃金については定期給与と現金給与総額が増加しており、これが個人消費の支えとなっています。さらに、企業収益については改善が見られるものの、テンポは緩やかであり、特に中小企業の業績が依然として低調です。
物価については、国内企業物価と消費者物価がともに上昇傾向にあります。企業向けサービス価格や生鮮食品を除く消費者物価は緩やかに上昇しており、特にエネルギー価格の動向が注目されています。一方で、物価の上昇ペースが消費者マインドに与える影響が懸念され、今後の物価動向には慎重な観察が求められます。
海外経済の状況については、アメリカでは景気が拡大基調にあるものの、依然として高い金利水準が経済の足かせとなっています。また、中国の景気は政策効果により供給の増加が見られるものの、不動産市場の停滞が全体の成長を抑制しています。ヨーロッパでは、ユーロ圏の一部で足踏みが見られる一方、イギリスの景気は持ち直しつつありますが、エネルギー価格や政策金利の影響により、不確実性が依然として高い状態が続いています。
全体として、国内経済は緩やかな回復基調を維持しているものの、海外経済の動向や物価上昇の影響など複数のリスク要因が指摘されています。政府と日本銀行は引き続き緊密に連携し、政策運営においては機動的な対応が求められます。
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