2025年2月1日
労務・人事ニュース
働き方改革で管理職の負担を軽減するには?企業が取り組むべき改善策
令和6年度働き方・休み方改革シンポジウム(厚労省)
令和6年度働き方・休み方改革シンポジウムは、厚生労働省の委託事業として開催され、現在の働き方改革の進捗と今後の課題について議論が行われました。冒頭の挨拶では、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化といった働き方改革関連法の施行から約5年半が経過し、労働環境に変化が見られることが指摘されました。特に週60時間以上の長時間労働者の割合が減少し、有給休暇の取得率が向上している点が報告され、これまでの施策が一定の成果を上げていることが強調されました。
基調講演では、東京大学名誉教授である佐藤弘樹氏が「国際比較から見た日本の大卒ホワイトカラーの働き方と生活のあり方」をテーマに講演を行い、特に管理職の働き方改革の重要性が語られました。佐藤氏は、管理職が労働環境に与える影響の大きさを指摘し、彼らが時間的・精神的余裕を持って業務に取り組める環境作りが必要であると述べました。具体例として、管理職の長時間労働やプレイングマネージャーとしての負担増加が挙げられ、これが課長以上の役職者のパフォーマンスや部下の育成に悪影響を及ぼしている現状が強調されました。
また、丸井グループの取り組み事例として、社員アンケートを基にした管理職の働き方の実態調査や、それに基づく改善策が紹介されました。同社では、若手管理職が増加する中で、若手の視点を取り入れた働き方改革が推進されています。特にテレワークの導入や残業時間削減、役割分担の見直しが進められており、これにより管理職の負担軽減と業務効率化を図る努力が続けられています。
一方、ペンシル社の取り組みでは、DXを活用した管理職業務の効率化が強調されました。同社では、車内法を通じた情報共有やデジタルツールを活用したスケジュール管理、モチベーションサーベイの実施により、管理職が組織全体を効果的に統率する仕組みを整備しています。さらに、管理職への業務負担を減らすための役割明確化や、組織運営のルール化が実施され、これにより職場環境の改善と働きがいの向上が図られています。
シンポジウムの後半では、参加者との質疑応答を交えたパネルディスカッションが行われ、働き方改革の具体的な進め方や現場での課題について意見が交わされました。特に、管理職が負担を軽減しつつ効果的なマネジメントを実現する方法や、若手社員の意識改革を促進するための方策が議論されました。さらに、働き方改革を実現するためのガイドライン作成についても話題となり、その内容には具体的な行動指針や、職場の全員が理解し実践できる取り組みが含まれることが期待されています。
このシンポジウムを通じて、働き方改革の進展をさらに推進し、管理職の負担軽減や職場環境の改善を進めることで、企業全体の生産性と従業員の満足度を向上させるための重要な一歩が示されました。参加者からも多くの意見や提案が寄せられ、今後の施策展開への期待が高まっています。このような取り組みが全国的に広がり、多くの企業が参考にすることが期待されています。
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