2024年9月20日
労務・人事ニュース
全国で37,227件の孤立死、65歳以上が28,330件に上る
令和6年上半期(1~6月分)(暫定値)における死体取扱状況(警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者)について(警察庁)
令和6年上半期における警察庁の統計データによると、自宅で死亡した一人暮らしの者の数は全国的に非常に多く、特に高齢者層でその傾向が顕著です。この統計は、警察が取り扱った死体の中で自宅で発見された一人暮らしの者を対象としており、年齢別や経過日数別に分類されています。全体の数は37,227体に達しており、そのうち65歳以上の高齢者は28,330体を占めています。このデータから、特に高齢者が一人で生活している際に、適切なサポート体制が整っていない現状が浮き彫りになっています。
年齢別の内訳を見ると、15歳未満の死亡者はゼロである一方、65歳以上の死亡者数が圧倒的に多く、85歳以上の年齢層では7,498体にも及びます。また、死亡後すぐに発見された場合でも多くのケースがあり、全体の14,775体が死亡から1日以内に発見されています。しかし、一方で、死後1ヶ月以上経過してから発見されたケースも2,927体あり、そのうちの1,974体が65歳以上の高齢者です。これらの数字は、孤立死のリスクが非常に高いことを示唆しており、社会全体でこの問題に対する対策が急務であることを強調しています。
また、都道府県別に見ると、警視庁管轄下での一人暮らしの死亡者数が最も多く、福島県や富山県などでも高い数字が見られます。特に大都市圏では一人暮らしの高齢者が多く、これが孤独死のリスクを高めている要因と考えられます。孤立した環境での生活が長期化することで、緊急時に助けを求めることが困難になる状況が背景にあります。
さらに、経過日数別の統計では、死後1週間以内に発見されたケースが多い一方で、1ヶ月以上経過してから発見されたケースも一定数存在しています。特に注目すべきは、死後3ヶ月以上経過してから発見されたケースもあり、このような状況は周囲のコミュニケーションの欠如や社会的つながりの薄さを示していると言えます。
このデータを踏まえると、高齢者が孤立しないようなコミュニティの形成や、地域社会全体での見守り体制の強化が不可欠です。特に、都市部においては、近隣住民との交流や福祉サービスの充実が求められています。また、孤立死を未然に防ぐためには、地域社会や自治体、さらには民間企業が連携し、早期発見・支援のための仕組みを整えることが重要です。デジタル技術を活用した見守りサービスの導入や、定期的な安否確認のシステム化などが今後の課題となるでしょう。
以上の統計データは、現代社会が抱える高齢者の孤立問題の深刻さを物語っています。この状況を改善するためには、政府や自治体、地域社会が一体となって取り組む必要があり、そのための具体的な施策が求められています。
⇒ 詳しくは警察庁のWEBサイトへ