2025年2月3日
労務・人事ニュース
全国の建設労働者不足率が0.6%に改善!建設労働需給調査結果(令和6年12月分調査)
建設労働需給調査結果(令和6年12月分調査)について(国交省)
建設業界では近年、技能労働者の確保が大きな課題となっています。特に令和6年12月時点では、建設技能労働者の需給バランスに関する調査結果が公表され、全国の8職種において過不足率が0.6%の不足となったことが明らかになりました。この不足率は、前月の0.9%と比較して0.3ポイント縮小していますが、依然として労働者不足が顕著である状況に変わりはありません。前年同月の1.4%と比較すると、0.8ポイント改善されたものの、職種や地域による差が大きく、対策が急務とされています。
地域別では、東北地方での不足幅が特に注目されています。12月のデータによると、東北地域の8職種全体の過不足率は1.5%の不足となり、前月の3.1%から1.6ポイント縮小しています。一方で、前年同月比では0.2ポイント拡大しており、持続的な改善が必要とされています。また、北陸や中部地方では需給が均衡している一方で、沖縄や関東などでは不足幅が目立ち、地域による対応の差が課題として浮き彫りになっています。
職種別では、特に左官や配管工、電工といった技能が不足しており、これらの職種での労働力確保が優先課題とされています。例えば、左官職では2.4%、配管工では2.4%、電工では2.6%の不足率が報告されています。これらの不足率は前年同月比で改善傾向が見られるものの、業界全体での労働力需要を満たすには依然として不足している状況です。
また、将来の労働者確保に関する見通しも調査されています。2月および3月における8職種全体の見通しでは、「普通」と評価されており、急激な不足や過剰は予測されていないものの、安定的な人材確保のための長期的な施策が必要とされています。一方で、地域別や職種別の詳細な状況を分析することで、個別の課題に対処するための具体的な戦略が求められています。
調査対象となった企業は、資本金300万円以上の法人企業約3000社に及び、直用する技能労働者数や現場での労働者確保状況が詳細に分析されています。この調査により、建設業界全体の労働力動向を把握し、公共事業の円滑な執行や建設労働対策の基礎資料として活用されることを目的としています。
このようなデータに基づき、今後の課題として、地域や職種に特化した採用施策の実施が挙げられます。例えば、特定の地域での技能講習会の開催や、若年層への建設業界の魅力発信といった取り組みが効果的と考えられます。また、職種別の技能向上を図るための研修プログラムの整備や、労働環境の改善を通じた人材の定着率向上も重要な施策となるでしょう。
さらに、企業規模や地域特性に応じた柔軟な政策の導入も求められています。例えば、地方都市における建設現場では、通勤手段の提供や宿泊施設の整備が労働者確保に寄与すると考えられます。一方、大都市圏では、労働者の多様なニーズに応える柔軟な労働時間制度や福利厚生の充実が求められています。
建設業界が抱える人材不足の課題を克服するためには、業界全体での連携が不可欠です。行政や企業、教育機関が協力し、将来を見据えた総合的な人材育成計画を策定することが重要です。今回の調査結果をもとに、具体的な課題解決策が講じられることで、業界全体の持続可能な発展が期待されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ