2025年4月10日
労務・人事ニュース
全国の建設技能者過不足率0.3%、前年より1.4ポイント改善も人手不足は継続(建設労働需給調査結果 令和7年2月分調査)
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年4月25日 22:35
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建設労働需給調査結果(令和7年2月分調査)について(国交省)
令和7年3月25日、国土交通省が発表した最新の「建設労働需給調査」により、全国における建設技能労働者の需給バランスが詳細に明らかとなりました。この調査は昭和54年から毎月継続されており、技能労働者の確保状況や今後の見通しを把握することで、公共事業の円滑な遂行と建設業界全体の安定に資する重要な統計資料です。今回の調査は令和7年2月10日から20日のうち1日を対象に、全国の建設業者約3,000社からの回答を集計したものです。
調査結果によれば、建設技能労働者8職種の全国平均過不足率(原数値)は0.3%の不足、6職種でも同じく0.3%の不足という結果が出ました。前月と比較するといずれも0.3ポイント不足幅が縮小しており、前年同月(8職種で1.7%の不足、6職種で1.6%の不足)と比べると1.4ポイントの改善が見られました。これにより、労働需給のひっ迫感はやや緩和されつつあると考えられますが、依然として全体としては人手不足の状況が続いているといえます。
地域別に見た場合、北海道や東北では若干の労働者過剰が報告されている一方、関東、九州、そして一部の都市部では依然として人手不足の傾向が顕著です。特に九州では、前年同月比で2.7ポイントの不足幅縮小が見られたものの、1.8%の不足が続いており、地方ごとに需給の差が大きいことが浮き彫りになりました。業界全体としては労働者の確保に向けた努力が進んでいるものの、地域差と職種差の解消には引き続き取り組みが必要です。
職種別の状況に目を向けると、「型わく工(建築)」における需給バランスは顕著な変動があり、前年の4.2%の不足から、今回は0.1%の過剰へと転じました。一方で、「型わく工(土木)」は0.9%の不足、「鉄筋工(建築)」も0.3%の不足と、専門技術を要する職種では慢性的な人手不足が継続しています。また、「電工」や「配管工」などの職種に関しては地域によって需給状況にバラつきがあり、都市部では不足、地方では均衡または過剰という傾向が見られます。
調査では、今後の見通しについても調査されており、4月・5月にかけての労働者確保の難易度については、「普通」との回答が全体の大半を占めた一方で、「困難」や「やや困難」と回答した割合は17.7%で、前年同月の24.2%から6.5ポイント減少しました。これは、企業側が人材確保に向けた対策を講じている結果であると考えられます。反対に、「容易」や「やや容易」と回答した割合も8.5%と、前年同月の7.9%を上回り、若干の改善傾向がうかがえます。
さらに、手持ち現場において残業や休日作業を強化している割合は2.4%であり、これは前月と変わらず、前年同月の3.6%からは1.2ポイントの減少となっています。強化理由としては、「前工程の工事遅延」が39.2%、「昼間時間帯の制約」が27.5%、「天候不順」が9.8%と続いており、労働力そのものの不足だけでなく、工期管理や現場条件の影響が多分にあることが分かります。
これらのデータから導き出されるのは、建設業における労働需給の構造的な課題と、それに対する各企業の取り組みの必要性です。とりわけ、採用担当者にとっては、職種別・地域別の需給データを正確に把握することが、採用計画や人材配置、さらには研修・育成プランの策定に不可欠な情報となります。例えば、技能労働者の確保が困難な地域においては、地域密着型の人材採用戦略を見直し、リスキリングやUターン・Iターン希望者への支援制度を整備するなど、具体的な対策が求められるでしょう。
また、建設業界においてもデジタル技術の活用が進んでおり、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や遠隔現場監督支援システムなど、新たなテクノロジーを取り入れた人材像が求められています。こうした変化の中で、従来型の技能者に加え、ITリテラシーを備えた新世代の建設技術者をいかに確保し、育成するかが今後の大きな課題です。
調査における新規募集の状況では、6職種・8職種いずれも前年同月を下回る不足率となっており、これは新規採用の難しさが依然として続いていることを示しています。企業にとっては、定着率を高めるための労働環境の整備、キャリアパスの明確化、資格取得支援など、多方面からの施策が求められるタイミングであると言えるでしょう。
以上の調査結果を踏まえると、建設業における人材確保の重要性と難易度は今後も高い水準で推移する見込みであり、企業としての柔軟かつ戦略的な人材対応が不可欠であることが明白です。特に採用担当者には、数値的根拠に基づいた現場の声をしっかりと把握し、組織全体での人材戦略に反映させる役割が求められます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ