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2025年3月8日

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全国の悪臭苦情が前年比5.6%減!環境省が発表した最新の対策状況とは?(令和5年度悪臭防止法等施行状況調査)

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令和5年度悪臭防止法等施行状況調査の結果について(環境省)

環境省は2025年2月21日、「令和5年度悪臭防止法等施行状況調査」の結果を公表した。本調査は、全国の都道府県、市町村、特別区を対象に、悪臭防止法に基づく各種措置の施行状況を把握し、悪臭対策行政の推進に役立てることを目的として毎年実施されている。今回の報告では、悪臭に関する苦情の件数や、悪臭防止法に基づく地域指定の状況、臭気判定士の免状取得者数、行政措置の実施状況などがまとめられた。

調査の結果、令和5年度における悪臭に関する苦情件数は11,735件となり、前年度の12,435件から700件減少し、前年比5.6%の減少となった。これは、全国的な悪臭防止対策の強化や、企業・事業者による自主的な対策が進んだことが一因と考えられる。苦情の内容を分析すると、最も多かったのは野外焼却に関するもので2,603件に達し、全体の22.2%を占めた。次いで、サービス業およびその他の事業者に関連する苦情が1,911件(16.3%)、個人住宅やアパート・寮に関する苦情が1,584件(13.5%)となった。これらのデータから、悪臭の発生源は多岐にわたり、それぞれの分野で異なる対策が求められていることが分かる。

悪臭防止法に基づく規制地域の指定状況についても報告がなされた。令和5年度末時点で、全国の市区町村のうち1,317市区町村(全体の75.6%)が規制地域として指定されており、前年度の1,315市区町村からわずかに増加した。この結果は、多くの自治体が悪臭対策に積極的に取り組んでいることを示しているが、まだ規制の及んでいない地域も存在し、さらなる拡充が求められる。

また、悪臭測定の専門資格である臭気判定士の免状取得者数についても報告され、令和5年度末時点での取得者数は3,352名となった。前年度の3,299名から53名増加しており、悪臭に関する専門知識を持つ人材が着実に増えていることが分かる。臭気判定士は、悪臭の測定や評価を行う重要な役割を担っており、その増加は悪臭防止対策の強化に寄与すると期待される。

一方で、悪臭防止法に基づく行政措置の状況をみると、令和5年度における規制地域内の工場・事業場に関する苦情は4,171件となり、前年度の4,497件から326件減少した。この結果から、規制地域における事業者の対策が一定の効果を上げていることがうかがえる。さらに、悪臭防止法に基づく立入検査は870件(前年度944件)、報告徴収は230件(前年度245件)、悪臭の測定は58件(前年度73件)と、それぞれ減少傾向にある。測定の結果、規制基準を超えていた事例は25件であり、前年度の20件と比較して増加した。このことから、一部の事業者においては依然として基準超過が見られ、引き続き厳格な監視が求められる。

また、行政指導の件数は763件(前年度762件)とほぼ横ばいであり、改善勧告は7件(前年度2件)と増加した。特に、悪臭に関する基準超過が発覚した事業者に対しては、より積極的な指導が行われたと考えられる。一方で、改善命令の発令はゼロ件であり、厳格な措置に至る事例はなかった。これは、事業者側が自主的に改善を進める傾向が強まっていることを示唆している。

今回の調査結果を踏まえ、環境省は引き続き自治体と連携し、悪臭防止対策の強化を進める方針を示している。特に、都市部や工業地域における悪臭対策の徹底、飲食店やサービス業における臭気管理の強化、個人住宅やアパートでの苦情対応の迅速化などが求められる。また、臭気判定士の育成をさらに推進し、測定や評価の専門家を増やすことも重要な課題となる。

さらに、今後の悪臭防止対策においては、IoT技術やAIを活用した監視システムの導入も期待されている。センサーを活用したリアルタイムの臭気監視や、データ分析による発生源特定の迅速化など、最新技術を取り入れた効率的な対策が求められる。また、住民や事業者への啓発活動を強化し、地域全体で悪臭防止への意識を高めることも重要である。

今後、環境省は今回の調査結果をもとに、具体的な政策の立案を進め、規制のさらなる強化や対策の拡充を検討する。特に、悪臭に関する苦情が多い業種や地域については、より効果的な措置を講じることが求められる。

⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ

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