労務・人事ニュース

毎月勤労統計調査地方調査　令和６年５月分結果概要　表2　事業所規模30人以上 調査産業計（厚労省）

全国の労働者数は約3,113万6千人に達し、これに伴う総労働時間は143.6時間とされています。所定内の労働時間は132.1時間であり、所定外、すなわち残業として発生した労働時間は11.5時間です。また、平均的な出勤日数は18.1日で、平均給与は総額で約334,010円に上り、そのうちの315,038円が定期的に支給される給与、290,826円が所定内の給与として計上されており、特別支給分としては18,972円が含まれます。

地域別のデータを見ると、北海道における労働者数は約100万人を超え、総労働時間は139.9時間となっており、出勤日数は全国平均よりわずかに高い18.3日です。給与については総額272,583円が支給されており、定期支給額は264,597円で所定内給与が247,048円、特別支給は7,986円となっています。青森県では労働者数が約21万人で、総労働時間は148.5時間、出勤日数が19.3日と比較的長めです。青森県での給与総額は258,111円で、定期支給は244,015円、所定内給与は228,127円、特別給与は14,096円と報告されています。

このデータを活用すると、地域ごとの労働状況の違いや給与の傾向を明らかにし、企業が地域ごとの特性に応じた採用戦略を立てる上で有用な視点を得られます。例えば、北海道や青森といった地域では、出勤日数や総労働時間の違いが見られるため、他地域の求職者と比較した際の給与や労働時間に対する魅力をアピールする材料となりえます。また、全国平均に対する各地域の給与総額や定期支給額の違いは、地域に応じた採用ターゲットの設定に役立ち、地元人材へのアピールをより強化する施策にもつながります。

全国平均の所定内給与が約29万円であることに対し、青森県では約22.8万円、北海道では約24.7万円と、地域によって給与水準に開きが見られることも、企業が地域別の人材に提示する給与水準を決定する上で参考になるでしょう。特に、生活コストや労働者の意欲に影響を与える給与額の差異は、地方の採用活動において独自の採用戦略を打ち出す要因になり得ます。各地域の特別支給分も含めた給与総額を比較することで、例えば家族を持つ労働者や長期雇用を目指す人材へのアプローチも容易になるでしょう。

企業が自社の採用活動を全国的に展開する場合、これらのデータは各地域の経済状況を反映する指標ともなり、各地域のニーズや特徴に応じた求人票の作成や給与パッケージの策定に役立つ情報といえます。特に労働市場が激しく変動する現代において、全国平均を踏まえた給与体系や労働条件の提示は、求職者に安心感を与える要素として働く一方で、地域ごとの個別対応も重要性を増しています。

また、企業の採用担当者にとって興味深いのは、地域ごとの所定内外の労働時間差や出勤日数の違いです。例えば、青森県では所定外労働時間が9.5時間、北海道でも同じく9.5時間で、全国平均よりやや短い傾向があります。このことから、地方の職場環境においては、過度な残業を避ける働き方の実現が可能であることを強調し、地方勤務を希望する求職者にアピールできるポイントになるでしょう。また、労働者のワークライフバランスを重視する企業にとっても、地域特有の労働時間を踏まえた働き方改革の一環として、採用活動に役立つ情報となります。

データはさらに、全国規模の労働環境と地域ごとの違いを定量的に理解する助けとなり、企業がその違いをどう採用に生かすかを考える材料を提供します。特に、地元での雇用を促進するために企業が求職者に提供する条件を地域ごとに調整する場合、地域の特性に応じた給与や労働時間の条件をアピールポイントにすることが有効です。例えば、北海道や青森のように労働時間が比較的短い地域では、残業を抑えた勤務体系を実現できるとして、求職者に働きやすい環境を提示することが可能です。

以上のデータ分析から、全国の労働市場における傾向を踏まえた採用戦略の策定が、企業にとって求職者を引きつける大きな鍵となることがわかります。企業は、給与や勤務条件の差異を活かし、地域ごとの特性に適した求人活動を行うことで、求職者にとってより魅力的な雇用先として認識される可能性が高まります。このようなデータを基にした採用活動は、単なる求人票の作成にとどまらず、労働者の定着や満足度向上にもつながり、長期的な雇用関係を築く一助となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ