2024年11月26日
労務・人事ニュース
全国平均556,647円の給与水準を超える採用戦略とは?地域別労働データを活用した実践的アプローチ
毎月勤労統計調査地方調査 令和6年6月分結果概要 事業所規模5人以上 製造業(厚労省)
令和6年6月に発表された統計データによると、全国における常用労働者数は7698万人で、総実労働時間は1か月平均161.7時間でした。そのうち、所定内労働時間は148.8時間、所定外労働時間は12.9時間となっています。これらの数値は、働き方改革が進む中での労働時間の現状を反映しており、企業における労働環境の適正化が引き続き求められることを示唆しています。また、出勤日数の平均は19.6日となり、効率的な労働時間管理の重要性がうかがえます。
さらに、全国の現金給与総額の平均は556,647円で、そのうち定期的に支給される給与が325,935円、所定内給与が296,388円、特別給与が230,712円となっています。これらの給与水準は、地域や産業ごとにばらつきが見られ、特に北海道では現金給与総額が421,094円と全国平均を大きく下回り、地域差が浮き彫りとなっています。このような地域差は、企業の採用活動において大きな影響を与える可能性があります。
たとえば、東北地方に目を向けると、青森県の常用労働者数は48.2万人で、総実労働時間は166.4時間と全国平均を上回っています。一方で、現金給与総額は390,404円と全国平均よりも低く、特別給与も142,944円と少ない状況です。これらのデータは、地域における人材の定着や働きがいを高めるための施策が必要であることを示しています。宮城県では、常用労働者数が100.8万人と比較的多く、現金給与総額も480,483円と青森県よりも高い水準を示していますが、それでも全国平均を下回る結果となっています。
企業の採用担当者にとって、このようなデータは戦略を考える上で重要な指針となります。地域別の給与水準や労働時間を考慮することで、応募者の関心を引き付ける施策を構築できるからです。例えば、青森県のように給与水準が低い地域では、給与アップや福利厚生の充実を訴求点とすることが有効でしょう。一方で、宮城県のように労働者数が多い地域では、競争力のある給与やキャリア形成支援が重要となります。
また、北海道のように広大な地域では、柔軟な働き方を提供することが競争力の鍵となるかもしれません。現金給与総額が低い一方で、労働時間が全国平均より長い傾向が見られるため、リモートワークや週休3日制の導入などを提案することで、他社との差別化を図ることができます。
企業が採用戦略を立てる際には、地域別の労働環境データを十分に理解することが重要です。このデータをもとに、現地の求職者のニーズに合わせた施策を展開することで、採用活動の効果を高めることが期待されます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ