2025年6月6日
労務・人事ニュース
全国製造業の給与総額89万円、賞与54万円で示される冬季の支給実態(令和6年12月分結果概要)
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介護支援専門員/ケアマネージャー/日勤のみ
最終更新: 2025年6月24日 03:00
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看護助手朝倉市/福岡県/甘木鉄道/西鉄甘木線
最終更新: 2025年6月23日 07:36
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「車通勤OK」/准看護師・正看護師/皮膚科/クリニック
最終更新: 2025年6月23日 22:37
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/デイサービス/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年6月23日 22:37
毎月勤労統計調査地方調査 令和6年12月分結果概要 事業所規模30人以上 製造業(厚労省)
令和6年12月の毎月勤労統計調査に基づく、事業所規模30人以上の製造業における労働実態は、わが国の主要産業である製造業の就業環境を定量的に示す貴重な資料となっています。この調査結果からは、労働時間の状況、賃金構造、地域別の特徴などが浮かび上がり、企業の採用活動や人事政策の設計に資する有益な知見が得られます。
全国の製造業における常用労働者数は約595万人であり、全産業に占める割合の中でも依然として高い比率を維持しています。労働時間に関しては、総実労働時間が月159.8時間、所定内労働時間が144.7時間、所定外労働時間が15.1時間という結果が示されており、事業所の規模が大きくなるにつれて所定外労働時間がやや長くなる傾向が見られます。これは、生産ラインの稼働率向上や年末の繁忙期による時間外労働の増加を反映した結果であると考えられます。また、出勤日数は18.9日と、カレンダー上の休日の影響を受けながらも、一定の稼働を維持していることがうかがえます。
全国平均の現金給与総額は889,663円に達しており、その内訳としてきまって支給する給与が347,884円、所定内給与が311,802円、そして特別給与が541,779円となっています。この特別給与の高さは、年末賞与が多くの企業で支給されたことを示しており、製造業における一時金の存在感の大きさが改めて浮き彫りになっています。特に賞与の金額が給与全体の6割以上を占めている状況から、労働者の年収が企業の業績に大きく依存していることが分かります。これは企業にとっては業績連動型の報酬設計のメリットがある一方で、安定志向の強い労働者にとっては将来の見通しが立てにくいリスク要因にもなり得ます。
地域別に見ると、北海道における常用労働者数は12万300人、総実労働時間は164.2時間、所定内が149.7時間、所定外が14.5時間と、全国平均より若干長めの労働時間が確認されています。出勤日数は20.4日であり、特に多い日数となっており、冬場でも高い生産活動が維持されていることを示しています。賃金面では、現金給与総額が655,578円、特別給与が378,169円、所定内給与が251,927円となっており、給与水準は全国平均を下回るものの、特別給与の構成比が高い点が特徴的です。
青森県では、常用労働者数が3万9,600人、総実労働時間が164.8時間とさらに高く、所定内労働時間が151.7時間、所定外が13.1時間という構成になっています。出勤日数は19.8日とこちらも高めであり、月間の稼働日数が長いことが確認されます。現金給与総額は540,276円で、特別給与が285,824円、所定内給与が229,450円と、全国水準からはやや低めの位置にありながらも、安定した支給が行われていることが分かります。
岩手県に目を向けると、常用労働者は6万700人で、総実労働時間が161.1時間、所定内が147.8時間、所定外が13.3時間です。出勤日数は19.2日と青森と同様に多く、現金給与総額は626,227円、そのうち特別給与が350,846円、所定内給与が247,635円となっています。ここでも、特別給与の占める割合が非常に大きく、企業の業績や賞与体系が労働者の手取り額に与える影響が強い地域特性を反映しています。
これらのデータから読み取れる重要なポイントの一つは、事業所の規模が大きいほど、賃金水準が高くなる傾向が顕著に見られるということです。全国平均で見ても、30人以上の製造業の事業所では90万円近い給与総額が確認されており、これは従業員への還元がある程度なされている証拠であり、安定した企業経営と人材への投資が両立している状況を示唆しています。ただし、給与の大部分が特別給与として支給されている点は、月収ベースでの安定感には欠ける一面もあり、採用時にはその点を十分に説明し、候補者に納得感を与える必要があります。
また、労働時間の長さは、地域ごとに一定の傾向があることも興味深い点です。北海道、青森、岩手など、東北・北海道エリアでは160時間を超える総労働時間が一般的となっており、製造業が地域経済に占める比重の高さが労働実態に反映されているといえます。これらの地域で採用を行う企業は、過重労働への懸念を払拭するために、働き方改革の進捗状況や労働時間削減への取り組みを積極的に発信していくことが重要となるでしょう。
このように、製造業の実態は一律ではなく、規模や地域によって労働環境に大きな差異が存在します。したがって、企業が採用戦略を練る際には、こうした統計データを詳細に読み解き、ターゲットとなる人材層に対して適切な労働条件や説明を行うことが求められます。人材確保が困難を極める現在の日本社会において、データに基づいた情報発信と労働環境の整備は、企業の成長と持続可能性を左右する極めて重要な要素となるはずです。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ