2024年12月4日
労務・人事ニュース
全国7資材の需給状況、令和6年11月調査結果を徹底解説
11 月の主要建設資材の需給動向は全ての調査対象資材において均衡 ~主要建設資材需給・価格動向調査(令和6 年11 月1~5 日現在)の結果~(国交省)
国土交通省は、令和6年11月の主要建設資材に関する需給動向調査を公表しました。この調査は、生コンクリート、鋼材、木材などの7資材13品目を対象に行われ、資材価格や需給バランス、在庫状況について詳細なデータが示されています。今回の調査では、すべての資材で「価格は横ばい」「需給は均衡」「在庫は普通」とされ、全体的に安定した市場環境が維持されていることが分かりました。
調査結果によると、セメントや生コンクリートなどの主要資材の需給は均衡状態が続き、価格も大きな変動がないことが確認されています。しかし、骨材(再生砕石)においては一部地域で「やや品不足」の傾向が見られるなど、地域差が浮き彫りとなりました。特に被災3県(岩手県、宮城県、福島県)においては、復興需要が依然として高く、再生資材の供給状況に課題が残ることが指摘されています。具体的には、再生砕石の在庫が一部地域で逼迫しつつあり、今後の需要増加に対応するための供給体制の強化が必要とされています。
調査の地域別動向では、北陸や関東など多くの地域で安定した需給環境が保たれている一方、中国・四国地方の一部では在庫状況にやや不安があることが確認されました。たとえば、四国では木材の需給バランスが安定している反面、骨材の供給に若干の課題が残っています。一方で九州地方では全般的に在庫が十分に確保されており、資材の流通がスムーズに行われていることが分かります。
また、今後の需給動向については、回答者の見立てによる予測が加味されています。全体的に価格動向は現状維持が見込まれるものの、一部資材では軽微な上昇や下落が予想されています。たとえば、セメント価格が一部地域で「やや上昇」の兆しを見せている一方、骨材に関しては「やや下落」となる可能性が示唆されています。これらの動きは、全国的な建設需要の動向や地域ごとの復興事業の進展によるものと考えられます。
企業が注目すべき点として、被災3県の建設資材需給における地域特性が挙げられます。岩手県、宮城県、福島県では、震災復興事業が進行中であることから、再生資材の需要が引き続き高い水準にあります。このため、資材調達の戦略として、再生砕石や木材の安定供給を確保することが鍵となるでしょう。同時に、被災地外の安定的な供給元を確保することもリスク管理上重要です。
さらに、企業がこの調査結果を活用することで、建設プロジェクトの効率化やコスト最適化が可能となります。需給が均衡している資材においては価格変動リスクが低く、長期的なプロジェクト計画を立てる際に有利な条件となります。一方、供給に不安がある資材については、早期に必要量を確保するための交渉や調達計画の策定が求められます。
国土交通省の調査データは、建設業界全体の需給バランスや価格動向を的確に把握するための重要な資料であり、今後の市場動向を予測する上での指針となります。企業にとって、これらの情報を活用することで、変動する市場環境に柔軟に対応し、効率的な経営戦略を展開することが期待されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ