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2025年4月9日

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全国932港が対象に拡大、月額9,000円で港湾インフラ情報の一元化が可能に

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サイバーポート(港湾インフラ分野)の対象港を全港湾に拡大・本格運用を開始 ~港湾インフラ全体の生産性向上及び効果的なアセットマネジメントを推進~(国交省)

国土交通省港湾局が主導する「サイバーポート(港湾インフラ分野)」が、令和7年3月25日より対象港湾を全港湾に拡大し、本格運用を開始することとなりました。これまで国際戦略港湾や国際拠点港湾、重要港湾の計125港を対象としていた本取り組みは、今回のアップデートにより、地方港湾を含む全国932港(港湾法第56条に定める一部港湾を除く)にまで対象を広げ、全国規模での港湾インフラの情報管理・活用体制が整備されることになります。

サイバーポートとは、港湾施設の計画から設計、施工、維持管理に至るまでの情報を電子化し、統合的に管理することで、生産性の向上や効率的なアセットマネジメントを推進するデータプラットフォームです。これにより、港湾に関わる事業者や行政機関は、従来は各所に分散していた情報へ一元的にアクセスできるようになり、業務効率や情報共有の質が飛躍的に向上することが期待されています。

今回の本格運用においては、いくつかの重要な機能拡張も行われました。まず、外部システムとの連携を容易にするAPI(Application Programming Interface)の公開が挙げられます。これにより、建設会社やコンサルタント企業、大学等の研究機関などが自社システムとサイバーポートを接続し、設計・保守・分析といった各工程でデータを有効活用できるようになります。情報のシームレスな流通が可能となることで、業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速すると考えられます。

次に、港湾施設の点検業務を支援する「移動端末用点検診断システム」の正式公開が行われました。これは、現場での点検作業をタブレット等のモバイル端末を用いて効率的に実施できる仕組みで、デジタル機器によりその場で記録、分析、報告が行えるため、従来の紙ベースの作業や後処理に要していた時間と労力を大幅に削減できます。点検業務の高度化・省力化に加え、作業データの即時共有も可能となるため、メンテナンスの質とスピードが一層向上する見込みです。

加えて、システムのユーザー管理機能も拡張されました。管理者権限を持つユーザーが、自らの組織内で新規ユーザーを登録・管理できる機能が追加されたことで、利用体制の柔軟性とセキュリティの両立が図られました。多くの関係者が参画する大規模プロジェクトにおいても、アクセス権限の管理が容易になり、組織全体での情報運用がより円滑に進むようになります。

なお、これまで登録利用者に対して一部機能が暫定的に無償で提供されてきましたが、令和7年4月1日よりこの無償期間は終了し、月額9,000円(1社あたり)での有料提供が開始されます。対象となる登録利用者には、設計図面の閲覧や集計・分析を行えるダッシュボード機能、電子納品物の保管・検索機能など、業務を高度化するための多彩なサービスが含まれています。費用が発生することで導入に慎重になる企業もあるかもしれませんが、実務レベルでの業務効率化や品質向上を考慮すれば、費用対効果の高い投資といえるでしょう。

また、このサイバーポートの整備により、インフラ維持管理の質的変化がもたらされる点も見逃せません。全国の港湾に共通した基準でデータを整備・蓄積できることにより、劣化の傾向分析や予防保全、長寿命化計画の策定が科学的な根拠に基づいて行えるようになります。これは従来のように感覚や経験に頼っていたインフラマネジメントから、データドリブンな戦略的管理への転換を意味しており、将来的には予算配分や人材配置にも大きな影響を与えると考えられます。

企業の採用担当者にとって、このようなインフラ分野におけるデジタル化の動きは、技術者・設計者・データアナリストといった多様な人材の確保を見据える上で、極めて重要な指標です。港湾インフラのスマート化が進むことで、従来の建設土木系人材に加え、ITや情報管理、IoTなどの技術に精通した人材のニーズが急増すると見られています。さらに、データ分析による予測メンテナンスやAI活用といった分野への展開も視野に入っており、これまで港湾業界にはなかった職種が生まれる可能性もあります。こうした環境変化に対応するためには、大学や専門学校との連携強化、インターンシップ制度の拡充、デジタルスキルを持つ若年層への訴求力のある採用広報が不可欠となっていくでしょう。

国土交通省が推進するこのプロジェクトは、インフラ老朽化が進む中で、限られた予算と人材でいかに安全かつ効率的に社会基盤を維持していくかという日本全体の課題に対する回答でもあります。そしてそれは同時に、デジタル技術を活用した産業変革の象徴でもあり、すべての関係者が参加し、発展を支えるための共通の基盤として機能していくことが求められます。民間企業にとっても、単なる技術ツールの導入ではなく、事業戦略・人材戦略・組織運営のすべてに関わる変革の一部として捉えるべき取り組みといえるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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