2025年1月12日
労務・人事ニュース
公共交通機関の段差解消率94%達成!令和7年度目標100%への道筋とは?
公共交通機関におけるバリアフリー化の状況について ~令和5年度 移動等円滑化に関する実績の集計結果概要~(国交省)
令和6年12月24日、国土交通省が令和5年度における公共交通機関のバリアフリー化の実績を発表しました。この取り組みは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(通称「バリアフリー法」)に基づき進められており、令和3年度から令和7年度までの基本方針に基づいて整備目標を設定しています。その目標達成に向け、各地で着実に進展が見られています。
令和5年度末時点でのバリアフリー化の進捗状況を見ると、旅客施設や車両の整備率が堅調に向上していることが分かります。具体的には、段差解消の整備率が94.0%、視覚障害者誘導用ブロックの設置率が46.6%、障害者用トイレの設置率が92.3%と、いずれも前年度から増加しました。視覚障害者誘導用ブロックの設置率は特に2.0ポイント上昇しており、目標達成に向けた努力の成果が現れています。
鉄軌道駅のホームドアや可動式ホーム柵の設置についても進展が見られます。全国の鉄軌道駅での設置数は2,647番線と前年度から163番線増加し、特に1日平均利用者数が10万人以上の主要駅では66番線増え、合計559番線に達しました。この勢いで整備が進めば、令和7年度末の目標である3,000番線や800番線の達成が期待されます。
車両面では、鉄軌道車両のバリアフリー化が59.9%、ノンステップバスが70.5%と、いずれも前年度比でそれぞれ3.0ポイント、2.5ポイント増加しました。一方で、リフト付きバスなどの導入は8.6%とまだ低い水準にとどまっていますが、こちらも前年比2.1ポイントの改善が見られます。空港アクセスバスのバリアフリー化率は41.2%、貸切バスは1,229台、福祉タクシー(UDタクシーを含む)は52,553台に増加しました。これにより、多様なニーズに応じた移動手段の選択肢が広がっています。
旅客船や航空機のバリアフリー化についても触れると、旅客船の整備率は57.8%(前年比1.7ポイント増)で、目標の約60%に近づいています。航空機については既に100%の整備が完了しており、全ての利用者が安全かつ快適に利用できる環境が整っています。
これらの進展は、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和による旅客施設利用者数の増加が影響していると分析されています。利用者増加に伴い、新たに集計対象となる施設が増加したことが背景にありますが、それでも堅調に目標達成に向けた進捗を示している点は評価に値します。
今後も公共交通機関のバリアフリー化が進むことで、より多くの人々が安心して移動できる社会が実現することが期待されます。特に令和7年度末の整備目標達成に向け、さらなる努力が求められています。関係機関や事業者による一層の取り組みに注目が集まります。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ