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2024年9月13日

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公的年金制度の持続可能性を確保する改革の道筋 被保険者数6,744万人が支える未来

令和6年版厚生労働白書 第4章 若者も高齢者も安心できる年金制度の確立(厚労省)

公的年金制度は、予測が難しい将来のリスクに対して社会全体で備えるための仕組みであり、現役世代が保険料を負担し、その時々の高齢世代への給付をまかなう世代間扶養の形態を基本としています。この賦課方式は、賃金や物価の変動を年金額に反映させ、生涯にわたって安定的な給付を提供することを目的としています。2022年度末における被保険者数は約6,744万人であり、これは全人口の約半数にあたります。国民年金の被保険者は、第2号被保険者(サラリーマンや公務員等)が全体の約68%にあたる4,618万人、第1号被保険者(自営業者や学生等)が1,405万人、第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者)が721万人となっています。

被保険者数の増減については、第2号被保険者が近年増加しており、2022年度には前年比82万人増加しましたが、第1号および第3号被保険者はそれぞれ減少しています。これは、被用者保険の適用拡大や高齢者の就労促進が要因とされています。年金の給付状況に関しては、2022年度末時点で約3,975万人が公的年金を受給しており、これは全人口の約3割にあたります。高齢者世帯の収入の約6割は公的年金に依存しており、老後の生活を支える重要な柱となっています。

2004年の年金制度改革以降、公的年金制度は持続可能な財政フレームワークを導入し、保険料の上限を固定した上で給付水準を調整する仕組みが導入されました。具体的には、マクロ経済スライドによって年金給付の名目額を調整し、賃金や物価の変動に応じて給付額を自動的に調整しています。2024年度の保険料は、厚生年金保険料率が18.3%、国民年金保険料が月額16,980円に設定されています。モデル年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)は月額230,483円、国民年金(1人分の老齢基礎年金)は月額68,000円となっています。

年金制度の持続可能性については、2019年に実施された財政検証において、経済成長と労働参加の進むケースでは所得代替率50%を確保できることが確認されました。また、被用者保険の適用拡大や就労期間・加入期間の延長、受給開始時期の選択肢の拡大などが、年金給付水準を確保する上でプラスの影響を持つことも示されています。次回の財政検証は2024年夏に実施される予定であり、社会経済や労働市場の変化に対応した制度の在り方について議論が進められています。

さらに、2020年に成立した年金制度改正法に基づき、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大や、受給開始時期の選択肢の拡大、在職老齢年金制度の見直しが進められています。2024年10月には、被用者保険の適用範囲が50人超の企業まで拡大される予定です。この改正により、従来は国民年金・国民健康保険に加入していた短時間労働者が、報酬比例の厚生年金を受け取ることができるようになり、さらに医療保険においても傷病手当金や出産手当金が支給されるというメリットがあります。

年金積立金の運用については、長期的な観点からの分散投資を基本とし、安全かつ効率的に運用が行われています。2022年度の運用実績では、収益率が+1.50%、収益額は約2兆9,536億円に達しました。年金積立金の管理・運用は、被保険者から徴収された保険料の一部を安全かつ効率的に運用し、将来の給付に備える重要な役割を果たしています。

また、企業年金や個人年金制度の普及も進められており、特に確定拠出年金(DC)制度や確定給付企業年金(DB)制度の利用促進が図られています。2020年の法改正では、DCの加入可能年齢の引き上げや受給開始時期の選択肢の拡大が盛り込まれ、さらに中小企業向けのDC制度の対象範囲の拡大も行われました。これらの制度は、公的年金に上乗せして加入するものであり、老後生活の経済基盤をより一層充実させるために重要な役割を担っています。

最後に、日本年金機構による業務運営の改善も進められており、年金相談の受付時間延長や予約制の導入、デジタル化の推進など、サービスの質を向上させるための取り組みが行われています。これにより、被保険者が年金に関する情報をより簡単に入手できる環境が整いつつあります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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