2024年8月15日
労務・人事ニュース
兵庫県内の有効求人倍率は0.97倍、競争激化する新規求人で企業は採用戦略の見直しが必要
一般職業紹介状況(報道発表資料)2024年度 令和6年6月内容(兵庫労働局)
兵庫県内における雇用動向に関するデータを基に、企業の採用戦略を考えるための情報を提供します。雇用市場の状況を正確に把握することは、労働力を確保し、企業の競争力を維持するために重要です。
令和6年6月の兵庫県内における有効求人倍率は0.97倍となり、前月と比較して0.02ポイント低下しました。有効求人倍率とは、求人数を求職者数で割ったものであり、1倍を下回ると求職者が求人よりも多いことを示します。この数値が0.97倍ということは、求職者が求人数を上回り、求職者が就職しやすい環境である一方、企業にとっては採用が難しい状況にあることを示唆しています。
一方で、新規求人倍率は1.78倍となり、前月より0.08ポイント増加しました。新規求人倍率は、新規求人者数を新規求職者数で割ったものであり、1倍を超えると新規求人が新規求職者よりも多いことを示します。このことから、企業が新たに求人を出す際には、求職者よりも多くの求人が出ているため、競争が激化していることがわかります。
有効求人数は80,018人で、前月と比較して0.8%減少しました。一方、有効求職者数は82,335人で、前月と比較して0.6%増加しています。これにより、企業は求職者が増加している一方で、求人が減少している状況に直面していることが示されています。
地域別に見ると、神戸市を含む兵庫県全体の有効求人倍率が0.97倍であるのに対し、大阪府や京都府の有効求人倍率は1.10倍を超えており、近隣地域と比較して兵庫県の労働市場はやや厳しい状況にあることがわかります。また、産業別に見ると、製造業や建設業においては求人が減少しており、特に建設業では前月比20.1%の減少を記録しています。
このような状況下で、企業の採用担当者は、適切な人材を確保するための戦略を再考する必要があります。例えば、給与や福利厚生の見直し、柔軟な勤務形態の導入、企業の魅力をアピールする採用広報活動の強化などが考えられます。また、新卒採用においても、早期からのインターンシップや企業説明会の開催など、求職者との接点を増やす努力が求められます。
さらに、データに基づくと、兵庫県内の正社員の有効求人倍率は0.76倍となっており、パートタイムや派遣労働者を含めた全体の有効求人倍率よりも低い数値を示しています。これは、企業が正社員を採用する際に、さらに厳しい競争に直面していることを意味します。特に、正社員として長期間働くことを希望する求職者が少ないため、企業は従業員の定着率を高めるための施策を検討することが重要です。
企業規模別に見ると、中小企業における新規求人の動きが特に鈍化しており、企業規模が大きいほど求人が増加する傾向が見られます。このため、中小企業は大企業と競争するために、自社の魅力を再評価し、アピールポイントを明確にすることが求められます。
物価上昇や生活費の増加など、経済的な要因も雇用市場に影響を与えています。これにより、企業は給与水準の引き上げを検討する必要があるかもしれません。また、求職者が期待する福利厚生やワークライフバランスの提供も、採用成功の鍵となるでしょう。
今後、兵庫県内の雇用情勢は不透明な部分が多いため、企業は市場の変化に迅速に対応するための体制を整える必要があります。具体的には、求職者のニーズを的確に把握し、柔軟な採用戦略を展開することが重要です。
⇒ 詳しくは兵庫労働局のWEBサイトへ