2024年12月6日
労務・人事ニュース
冬場に多発するヒートショックのリスクを徹底解説!入浴時の事故を防ぐための実践的対策とは
ヒートショックを予防しましょう(福岡県)
冬の寒い季節になると、室内と屋外、さらには室内の異なる場所間での温度差が大きくなることが多くなります。このような温度差は、特に高齢者にとって深刻な健康リスクをもたらす「ヒートショック」という現象を引き起こす原因となります。ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が大きく上下し、それに伴い不整脈や失神、さらには心筋梗塞や脳卒中といった重大な健康問題が発生する状態を指します。特に冬場はその発生リスクが高まり、気温の低下に伴い、浴室や脱衣所のような冷えやすい空間での事故が多発します。このため、ヒートショックの予防は、寒冷地だけでなくどの地域においても重要な課題となります。
冬季に発生する入浴中の事故についても注意が必要です。データによれば、年間の入浴事故の約八割が11月から翌年4月にかけての冬季に集中しており、その中でも浴槽内での高齢者の死亡事故が多くを占めています。さらに、高齢者の入浴事故は溺死だけでなく、心疾患などによる急死も含まれていると考えられ、実際の発生件数はさらに多い可能性があります。このような事故の発生要因としては、浴室の寒さによる血圧変動や心臓への負担が挙げられます。また、75歳以上の後期高齢者においては、こうしたリスクが一層高まることも示されています。
ヒートショックを予防するためには、まず入浴環境を整えることが重要です。冬場の浴室や脱衣所は外気温と同程度に冷え込むことが多いため、入浴前にこれらの空間を適切に暖めることが必要です。たとえば、浴槽にお湯をためる際にシャワーを使って給湯することで、浴室内に蒸気を発生させて温度を上げることができます。さらに、脱衣所にも暖房器具を設置し、入浴前に事前に空間を暖めておくと良いでしょう。これにより、暖かい部屋と浴室や脱衣所の間の温度差が軽減され、体への負担を減らすことができます。
次に、入浴時の湯温と時間にも注意を払うことが求められます。湯温は41度以下に設定し、入浴時間は10分程度を目安とすることで、体温の急上昇を防ぐことができます。長時間の入浴は半身浴であっても体温を過度に上昇させるリスクがあるため、注意が必要です。また、浴槽から急に立ち上がると、血圧の急激な変動によってめまいや転倒を引き起こす可能性があります。浴槽から出る際は、手すりや浴槽の縁を活用して慎重に立ち上がることが大切です。
さらに、食後や飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けるべきです。食後には消化器官に血液が集中するため、入浴による血圧の変動が大きくなり、意識を失う危険性があります。同様に、飲酒後や睡眠薬を服用した後の入浴も、体温調節や血圧維持の機能が低下するため避けることが推奨されます。また、体調が悪い時や強い疲労を感じる場合も入浴は控えた方が安全です。
家族と協力してヒートショック事故を防ぐことも重要です。高齢者が入浴する際には、同居している家族がそのことを把握し、必要に応じて注意を払う体制を整えると安心です。入浴時には「今からお風呂に入る」と声を掛け合うことで、何か異常があった際の早期発見につながります。特に長時間音沙汰がない場合や、突然大きな音がした場合には、速やかに声を掛けて確認することが重要です。
ヒートショックの予防には、日常生活の中での小さな工夫が大きな効果をもたらします。特に寒い冬場は、浴室や脱衣所だけでなく家全体の温度管理に意識を向けることで、安心して健康的に過ごすことができます。個々の体調や住環境に合わせた対策を講じ、冬のリスクを最小限に抑えましょう。
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