2024年11月21日
労務・人事ニュース
労働力人口における女性の割合が45%超え、企業の多様性戦略が鍵に
第75回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 資料2-1 令和5年版「働く女性の実情」のポイント(概要)(厚労省)
厚生労働省が発表した令和5年版「働く女性の実情」について、特に企業の採用担当者が注目すべきポイントを取り上げて分析しました。本報告では、女性の労働力人口、就業率、賃金格差の現状、さらには企業が取り組むべき施策について詳細に述べられています。この内容を基に、企業が戦略的に女性の採用・活用を進めるためのヒントを提供します。
令和5年における女性の労働力人口は28万人増加し、男性は4万人減少したことが示されています。これにより、労働力人口総数に占める女性の割合は45.1%に達し、前年から0.2ポイント上昇しました。また、年齢階級別に見ると、「15~19歳」と「65歳以上」を除く全ての年齢層で労働力率が過去最高を記録しています。特に30代から40代の層では、従来の「M字型」の労働力率が台形に近づいていることが顕著です。このデータは、結婚や育児を経ても働き続ける女性が増加している傾向を示しています。
また、女性の就業者数も増加しています。令和5年のデータでは、女性の就業者数は27万人増え、男性は3万人減少しました。これにより、女性の就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は53.6%に達し、前年比で0.6ポイント上昇しました。このような状況から、女性の労働市場への参加がますます活発化していることが分かります。
一方で、男女間の賃金格差は依然として課題として残っています。一般労働者の所定内給与額で見ると、女性の賃金は男性の74.8%にとどまっています。この格差の主な要因としては、役職の違いが最も大きく、賃金格差生成効果として9.7ポイントを占めています。さらに、勤続年数の違いも格差の一因となっており、3.7ポイント分を占めています。これらのデータは、企業が女性のキャリア形成を支援し、役職への昇進を後押しすることの重要性を強調しています。
また、女性の活躍を促進するための政府の取り組みも報告書では強調されています。例えば、育児休業や介護休業制度の普及、次世代育成支援対策の推進、そして不妊治療と仕事の両立支援などが挙げられます。これらの施策は、女性が働き続けやすい環境を整えるためのものであり、企業にとっては、従業員のワークライフバランスを考慮した柔軟な労働環境を提供することが求められます。
さらに、女性の能力を最大限に発揮するためには、非正規雇用者を含めた均等・均衡待遇の実現が不可欠です。例えば、パートタイム労働者や有期雇用労働者に対する均等な待遇を推進し、助成金の活用を通じて事業主の支援を図ることが可能です。また、テレワークやフリーランスといった多様な働き方への対応も求められています。こうした柔軟な働き方を実現することで、幅広い人材の活用が可能となり、企業競争力の向上につながるでしょう。
企業がこれらのデータや施策を基に行動を起こすことで、女性の労働参加をさらに促進し、組織の多様性と生産性を高めることができます。採用戦略においても、育児中の女性やシニア世代の女性を対象とした特別プログラムを展開するなど、具体的なアクションが求められます。これにより、企業は単に女性の採用率を向上させるだけでなく、長期的な視点での女性活躍推進が可能になります。
最後に、企業の採用担当者が考慮すべき具体的な施策として、役職登用の目標設定やメンター制度の導入、賃金格差是正に向けた透明性の確保などが挙げられます。これらの取り組みを通じて、企業は多様な人材を活用し、新たな成長の機会を創出することができるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ