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2024年4月11日

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労働市場における心理的転換 失業から再就職への移行分析

離職過程における労働者の心理 ―認知的タスク分析を応用したインタビュー調査―(JILPT)

失業から再就職への過程で労働者が経験する心理的変化と支援策に焦点を当てた研究が行われました。この研究は、失業期間中の人々がどのように感じ、どう行動するかを深く理解し、彼らへのサポートを改善する目的で実施されました。

32人の失業中の労働者へのインタビューを通じて、離職過程での心理状態が詳細に分析されました。調査結果は、雇用関係を維持するために労働者がどのように自身の労働サービスの需要と供給を調整しているかを示し、労働者が直面する心理的課題に対処するためのアプローチを提案しています。

研究では、失業の原因が労働サービスの需要の消失または供給意欲の喪失に関連していることが明らかにされました。失業体験は主に、経営戦略の変更、健康問題、家庭生活とのバランス、職場環境の悪化など様々な要因によって引き起こされることが分かりました。

このような状況下で、労働者は自分のキャリアや生計を支えるため、時には過重労働や不満を抱えながらも、仕事を続ける傾向があることが示されました。

また、労働者が自身の労働サービスの需要と供給のバランスをどう捉え、調整しようとしているかについても深掘りしました。例えば、同僚への配慮、後任者の不在、責任感、会社への恩義、昇進への望みなど、多様な動機が労働者の心理に影響を与えていることが判明しました。

これらの心理的要因は、労働者が失業の状況にどのように対応し、その過程で感じる無力感の理解を深めるのに役立ちます。

研究は、職場や失業状態にある労働者への理解を深めるだけでなく、失業者支援策の改善にもつながることを目指しています。

例えば、キャリアコンサルティング、職業相談・紹介、再就職支援セミナーなどのプログラムは、労働者が自身の供給意欲に気づき、キャリア目標に向けた計画を立てるのに役立ちます。これらのプログラムを通じて、労働者は自分のキャリアを形成し、労働市場でのポジションを見つけることができるようになることが期待されます。

研究成果は、失業者への一貫した支援と、労働市場の健全な発展に寄与することが期待されています。今後、さらに多くのデータを元に研究を深め、失業から再就職への移行を支援するための効果的なアプローチを開発することが求められています。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ