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2025年2月2日

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労働災害発生数が前年比2.2%増加、業界別リスク分析で明らかになる課題とは(令和6年12月速報値)

令和6年労働災害発生状況(令和6年12月速報値)(厚労省)

令和6年12月に発表された労働災害の統計データによると、全国で労働災害の発生件数が前年同期比で増加したことが明らかになりました。この報告は、令和6年1月1日から11月30日までに発生した労働災害を集計したもので、12月9日までの時点で報告された事案を含んでいます。全体の死傷者数は113,193人で、前年同期比2.2%の増加となり、特に死亡災害は631人で3.6%増加しました。このデータから、労働環境の安全性を向上させるためのさらなる取り組みが必要であることが示唆されています。

業種別に見ると、製造業や建設業、陸上貨物運送事業における労働災害が多く報告されています。製造業では、死亡災害の発生件数が増加傾向にあり、特に「墜落・転落」や「はさまれ・巻き込まれ」による事故が主要な原因として挙げられています。一方で、建設業においても同様に「墜落・転落」が主な事故原因となっており、業界全体で高所作業時の安全対策が求められています。陸上貨物運送事業では交通事故の増加が顕著で、安全運転教育の重要性が改めて注目されています。

また、第三次産業においても労働災害が報告されています。特に、飲食業や小売業における「転倒」による災害が多く見られます。この背景には、店舗内の作業環境や清掃状況の不備、スタッフへの安全教育の不足があると考えられます。社会福祉施設においても同様の傾向が見られ、高齢者や障害者の介護に関連する作業中の「無理な動作」や「転倒」による事故が報告されています。

令和6年のデータでは、特に「墜落・転落」による災害が大きな割合を占めており、全体の25.8%を占めています。この他、「はさまれ・巻き込まれ」が15.9%、「切れ・こすれ」が15.3%、「転倒」が14.6%と続いています。これらのデータは、労働者が従事する環境で発生しやすい危険要因を浮き彫りにしています。各業種ごとに異なるリスクがあるため、企業ごとに適切な安全対策を導入することが求められます。

一方で、事故防止に向けた取り組みも進められています。国や地方自治体は、労働災害の発生を抑えるためのガイドラインやマニュアルを発行し、事業者に向けて積極的な啓発活動を行っています。また、企業の中には最新技術を活用した安全対策を導入する動きも見られます。例えば、製造業や建設業では、AIやIoTを活用したリスクモニタリングシステムの導入が進んでおり、作業現場での危険を事前に察知して回避することが可能となっています。

ただし、これらの技術的な取り組みに加え、労働者一人ひとりの意識改革も必要不可欠です。安全教育や研修プログラムを通じて、労働者が危険に対する認識を深めることが求められます。加えて、職場内でのコミュニケーションを活発化させ、リスクを共有する文化を醸成することも重要です。

こうした統計データの分析は、企業が事故の防止策を講じる上での貴重な指針となります。特に、労働災害が増加傾向にある現状を踏まえ、企業経営者や採用担当者は、安全対策の重要性を再認識する必要があります。労働環境の安全性を確保することは、従業員の健康と生命を守るだけでなく、企業の信頼性や持続可能性を高める上でも不可欠な要素となります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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