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2024年9月13日

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労働環境改善を目指す最新の法改正、全労働者が安心して働ける社会を目指して

令和6年版厚生労働白書 第1章 働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など(厚労省)

労働市場における非正規雇用の拡大とその対応策について、現状の分析と今後の課題を中心に解説します。近年、非正規雇用労働者の割合は増加傾向にあり、2023年には約2,124万人に達しました。これは、全雇用者の約4割を占めており、特に高齢者や女性の労働参加の増加が要因となっています。しかし、非正規雇用者は雇用の不安定さや低賃金、能力開発機会の不足といった課題に直面しており、これらの問題を解消するための総合的な対策が求められています。

非正規雇用者の中には「自分の都合のよい時間に働きたい」などの理由で非正規雇用を選ぶ者も多い一方で、正規雇用を希望してもその道が閉ざされている人々(不本意非正規雇用労働者)も存在しています。2023年の統計によれば、非正規雇用者のうち9.6%が不本意非正規であり、25歳から34歳の若年層ではその割合が13.1%に上ります。この現状を踏まえ、どのような雇用形態を選択しても納得のいく処遇を受けられる環境を整備することが急務とされています。

政府は、非正規雇用者が正社員への転換を希望する場合、その機会を提供し、処遇改善を図るための助成金制度を導入しています。キャリアアップ助成金を通じて、正社員転換や処遇改善に取り組む事業主に対して支援を行っています。また、2020年に施行された「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」により、雇用形態にかかわらず公正な待遇を確保するための規定が整備されました。この法律は、特に不合理な待遇差の解消や労働者への待遇に関する説明義務の強化を目的としています。

さらに、非正規雇用者に対する能力開発の機会を確保するため、ハローワークなどを通じた職業訓練が推進されています。これにより、非正規雇用者が正社員として安定した雇用を得られるよう、無料の職業訓練が提供されています。特に、雇用保険を受給できない者を対象とした求職者支援訓練や国家資格取得を目指す長期訓練コースが拡充されており、より高い可能性での就職を目指すための支援が行われています。

また、2024年には、有期労働契約に関する規定が強化され、契約更新が5年を超えた場合、労働者が無期契約への転換を申請できる制度が導入されました。この「無期転換ルール」は、労働者が安心して働き続けることができる社会の実現を目指しています。

派遣労働者についても、2020年に施行された改正労働者派遣法により、不合理な待遇差の解消やキャリアアップの推進が図られています。派遣元事業主は、派遣先の労働者との均等・均衡待遇を確保するか、労使協定に基づく待遇の確保を義務づけられています。これにより、派遣労働者が公正な待遇を受けられるよう、派遣先との労働条件の格差是正が進められています。

労働環境の改善に向けた取り組みとしては、過重労働の是正が重要な課題とされています。毎年11月には「過重労働解消キャンペーン」が実施され、長時間労働の抑制や過労死防止に向けた啓発活動が行われています。また、勤務間インターバル制度の導入が推進されており、労働者の健康を守るための措置が強化されています。

さらに、特定業界、例えば自動車運転者や医療従事者に対する長時間労働の抑制策も進められています。2024年4月からは、自動車運転者に対する時間外労働の上限規制が適用され、年間960時間以内に抑えることが義務づけられました。同様に、医師に対しても時間外・休日労働の上限規制が適用され、労働環境の改善が求められています。

労働環境の整備と同時に、仕事と生活の調和を図るための取り組みも強化されています。テレワークの導入・定着が促進されており、労働者が柔軟な働き方を選択できるよう支援が進められています。また、副業・兼業の環境整備も進展しており、労働者が多様なキャリア形成を実現できるよう、企業による情報公開や労働時間管理のルールが明確化されています。

今後も、非正規雇用者の処遇改善や労働環境の整備が重要な課題となります。政府と企業が連携し、働きやすい環境を整えるための取り組みを一層強化することが求められています。これにより、全ての労働者が安心して働き続けることができる社会の実現が期待されます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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