2024年7月5日
労務・人事ニュース
労働組合の活動実態:賃金・賞与交渉が91.3%、今後も79.4%が重点事項に
令和5年 労働組合活動等に関する実態調査 結果の概況(厚労省)
厚生労働省は、令和5年「労働組合活動等に関する実態調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この調査は、変化する労働環境の中で労働組合の組織や活動の実態を明らかにすることを目的としています。対象は、民営事業所における労働組合員が30人以上の労働組合であり、令和5年6月30日現在の状況について調査しました。5,063の労働組合のうち、3,028の労働組合から有効な回答を得ました。
調査結果のポイントとして、まず労使関係についての認識が挙げられます。労使関係が「安定的」と認識している労働組合は91.0%であり、前回令和4年の89.5%から増加しています。次に、労働組合員数の変化についてですが、3年前の令和2年6月と比較して「増加した」と回答した労働組合は23.0%で、前回令和3年の31.4%から減少しました。「変わらない」は22.3%(前回25.8%)、「減少した」は54.5%(前回42.7%)と、減少傾向が顕著です。
さらに、労働組合の組織拡大に関する状況を見ると、「取り組んでいる」と回答したのは28.4%で、前回令和3年の26.7%からやや増加しました。一方で、「取り組んでいない」と回答したのは71.3%であり、その主な理由として「ほぼ十分な組織化が行われているため」(54.2%)や「組織が拡大する見込みが少ないため」(24.7%)が挙げられています。
正社員以外の労働者に関して、労働者の種類別に組合加入資格がある割合は、「パートタイム労働者」が40.7%(前回42.0%)、「有期契約労働者」が42.5%(前回40.9%)、「嘱託労働者」が37.9%(前回38.2%)、「派遣労働者」が7.0%(前回5.0%)となっています。これらの数字から、正社員以外の労働者に対する組合加入資格が一定程度認められていることが分かります。
最後に、労働組合活動の重点事項についてです。これまで重点をおいてきた事項として、「賃金・賞与・一時金」が91.3%(前回90.8%)と最も高くなっています。今後重点をおく事項についても同様に「賃金・賞与・一時金」が79.4%(前回76.3%)であり、いずれも前回に比べてその割合が上昇しています。
今回の調査結果は、労働組合が直面する課題やその取り組みの現状を反映しています。労使関係の安定が高い割合で認識されている一方で、組合員数の減少や組織拡大への取り組みが依然として課題となっています。また、正社員以外の労働者に対する組合加入の資格が一定程度認められていることから、多様な労働形態への対応が進んでいることも伺えます。
厚生労働省では、これらの調査結果を基に、労働組合の活動をさらに支援し、労使関係の安定を図るための施策を検討していく予定です。労働組合においては、引き続き労働者の声を反映し、働きやすい環境づくりを推進するための活動が求められています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ