2024年12月28日
労務・人事ニュース
労働組合員数991万人、推定組織率16.1%で過去最低更新-令和6年調査結果
令和6年労働組合基礎調査の概況(厚労省)
令和6年の労働組合基礎調査結果が公表され、労働組合や労働組合員の状況、産業別分布、パートタイム労働者の状況などが明らかにされました。この調査は全国規模で実施され、労働組合の実態を把握し、労働環境改善や政策形成の基礎資料とする目的で行われています。今年の調査結果から、労働組合組織の現状とその変化が具体的な数字で示されています。
今年の調査では、令和6年6月30日時点での労働組合数が22,513組合、労働組合員数は991万2千人と報告されました。これは、前年と比較して組合数で276組合(1.2%)、組合員数で2万5千人(0.3%)の減少を意味します。さらに、推定組織率は16.1%と前年の16.3%から0.2ポイント低下し、過去最低値となりました。このような数字の変化は、労働環境の変化や組織力の低下を示唆しており、労働組合活動の維持・発展が求められる状況を浮き彫りにしています。
一方で、パートタイム労働者に関するデータには注目すべき点があります。パートタイム労働者の労働組合員数は146万3千人となり、前年より5万3千人(3.8%)増加しました。この増加により、全労働組合員数に占める割合は14.9%、推定組織率は8.8%と、いずれも過去最高を記録しています。こうした増加傾向は、非正規労働者の組織化が進展していることを示し、今後もさらなる組織化が期待されています。
産業別に見ると、労働組合員数が最も多いのは製造業で、261万5千人(全体の26.5%)が組合員として活動しています。その次に多いのが卸売業・小売業の156万人(15.8%)、建設業の83万9千人(8.5%)と続きます。一方、宿泊業・飲食サービス業では8.6%の増加を見せる一方で、製造業、公務、運輸業などでは減少が見られました。これらのデータは、産業ごとの労働環境の変化や経済的背景が労働組合の構成にも影響を与えていることを示しています。
企業規模別では、労働組合員数の67.6%が従業員数1,000人以上の大規模企業に所属しています。一方で、従業員数30人未満の企業では組織率がわずか0.2%と、規模の小さい企業における労働組合の普及が進んでいないことが浮き彫りとなりました。この点から、特に中小企業における組織化の支援が重要であることが示されています。
さらに、主要団体への加盟状況を見てみると、連合(日本労働組合総連合会)の組織が主導的役割を担っており、681万3千人の労働組合員を抱えています。ただし、連合をはじめとする主要団体の加盟組合員数は減少傾向にあり、全労連や全労協も同様に減少を記録しました。これにより、団体間の競争や連携のあり方についても議論が必要とされています。
以上の結果から、労働組合の活動は依然として重要な役割を果たしている一方で、その構造的な課題も明らかになりました。特に、若い世代や中小企業労働者への組織化の拡大、そして女性や非正規雇用者を含む多様な労働者への対応が、今後の労働組合の持続可能性を左右する要因となるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ