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2024年12月27日

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労務費転嫁率62.4%に上昇!サプライチェーンの課題と改善策が明らかに

(令和6年12月16日)「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」の結果について(公正取引委員会)

令和6年12月16日、公正取引委員会は「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」の結果を発表しました。本調査は、労務費や原材料費、エネルギーコストなどの上昇分を適切に取引価格へ反映することを目的として行われています。特に今回の調査では、労務費の転嫁が主要な焦点となり、各業種や取引段階における具体的な状況が詳細に分析されました。

調査によれば、労務費転嫁の進捗状況に大きな改善が見られました。全体的に労務費の転嫁率は前年度の45.1%から62.4%へと17.3ポイント上昇し、他のコストとほぼ同水準となっています。しかし、依然としてサプライチェーンの下流に行くほど転嫁率が低下する傾向が続いており、課題も浮き彫りになりました。例えば、製造業者から一次受注者への転嫁率は61.0%、二次受注者では49.2%にとどまっています。

また、調査対象の43業種の中で、労務費転嫁の認知度にも地域差が見られました。東京都や神奈川県では50%を超える一方、青森県や岩手県では40%未満にとどまる結果となっています。業種別では、放送業や輸送用機械器具製造業において認知度が高く、労務費の転嫁交渉も比較的進んでいる傾向がある一方で、酪農業や自動車整備業では遅れが顕著でした。

発注者の行動についても課題が指摘されています。受注者からの価格交渉要請に応じる割合は一定数増加していますが、発注者から自主的に協議を呼び掛けるケースは依然として少なく、全受注者と定期的に協議を実施している割合は23.7%にとどまります。こうした状況を改善するため、公正取引委員会は発注者の理解促進や行動変容に向けた取り組みを強化する方針を示しました。

一方で、労務費転嫁の積極的な取り組みを行う企業も増えています。具体的には、経営トップが労務費転嫁方針を直接説明したり、価格交渉に必要なデータを受注者と共有するケースが挙げられました。また、受注者側も労務費上昇の根拠資料を事前に準備し、交渉を有利に進める工夫が見られます。

さらに、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に該当する行為についても調査が進められ、6,510名の発注者に対して注意喚起文書が送付されました。前年度から注意喚起の対象者数は減少傾向にあり、法的遵守が浸透しつつあることがうかがえます。

今後、公正取引委員会は調査結果を踏まえ、各業界団体や地方自治体と連携してさらなる周知・啓発活動を行うとともに、必要に応じた立入調査や事業者名の公表などの厳正な対応も実施する方針です。特に労務費の適切な転嫁を定着させるため、発注者・受注者双方の行動指針に基づいた取り組みの徹底が求められています。

労務費転嫁は、企業の持続的な成長や健全な取引環境の確保に欠かせない要素です。経営トップの理解と実行、現場担当者の意識向上、受注者の積極的な交渉姿勢が連携することで、全ての事業者にとって公正で透明な取引環境が構築されることが期待されます。

⇒ 詳しくは公正取引委員会のWEBサイトへ

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