2024年10月15日
労務・人事ニュース
北海道の観光業、9月売上前年比107.5%!インバウンド需要が急増中
景気ウォッチャー調査(令和6年9月調査)― 北海道(現状)―(内閣府)
北海道の最新の景気動向に関する調査によると、観光業や小売業、住関連業種における景気回復が目立っています。特に観光名所では、訪れる観光客の数が例年を大幅に上回り、個人旅行者や若者グループの利用が増加しています。この現象はインバウンド需要の拡大に支えられており、豪華客船の寄港なども影響しています。小売業では、2023年9月の売上が前年と比べて約107.5%、さらに2021年比では約524.2%に達しています。このように、一部業種では経済活動が活発化している様子がうかがえます。
住関連の専門店でも、日用品や季節商材の売上が増加しており、特に日常的に使用される商品に対する需要が強くなっていることが報告されています。高級レストランでは、9月に入り気温が落ち着いたこともあり、ランチの利用客が増加し、前年を上回る売上を記録しました。観光シーズンの開始に伴い、国内外の観光客の動きが活発化し、観光業の景気も上向きとなっています。
しかし、一方で、他の業種では必ずしも順調とは言えない状況も見受けられます。例えば、旅行代理店では、国内旅行におけるホテルの宿泊料金の高騰や、全国的な暑さが旅行需要を抑制していることが指摘されています。国際線では韓国便や中国便の利用者が増加していますが、全体的には観光業の回復に不透明感が残る部分もあります。また、商店街では訪問者数がコロナ禍前の水準に回復しているものの、顧客の購買行動には二極化が進んでおり、高価格帯の商品は依然として売れていますが、日常品に関してはより安価な商品が求められる傾向が強まっています。
さらに、北海道全体の気候に関する影響も景気に影を落としています。9月は災害が少なく比較的良好な天候に恵まれましたが、気温の変動が大きく、例えば秋物衣料が販売不振に陥るなど、ファッション業界では苦戦しているという報告がなされています。また、円高の影響でインバウンド需要の減少が見込まれ、特に北海道への訪問者数は減少傾向にあることも指摘されています。この影響は年末まで続くと見られており、北海道の景気は短期間での改善は期待しにくい状況にあります。
食料品や生活必需品を扱うスーパーマーケットにおいても、来客数自体は増加しているものの、顧客の購入点数は依然として低迷しており、客単価の上昇が家計に与える影響が顕著に見られます。生活防衛意識が強まっていることが原因とされ、消費者が必要な商品だけを購入する傾向が強まっています。このように、北海道の景気全体は回復の兆しが見られるものの、業種や地域によってその勢いにはばらつきがあり、慎重な見通しが必要です。
一方、観光型ホテルやタクシー業界でも景気はやや停滞しています。タクシー業界では、9月の売上が前年と比べて約5%減少しましたが、乗務員の採用は前年から約30%増加し、全体としては業績が拡大しています。観光型ホテルでは、宿泊料金が上昇している一方で、稼働率が低下しており、全体的には現状維持の傾向が続いています。
また、金融業や建設業ではDX投資が進んでおり、特に中小企業が設備投資に積極的であることが報告されています。これにより、経済の好循環が期待されていますが、人手不足や建設業における労働力不足が課題となっており、受注に対する対応が追いつかない状況も見受けられます。
まとめると、北海道の景気は観光業や小売業を中心に一部業種では回復が進んでいますが、天候や国際情勢、為替変動といった外部要因が景気に与える影響が大きく、依然として不安定な要素が多く残っています。特にインバウンド需要の動向や生活防衛意識の高まりによる消費行動の変化が今後の経済活動に大きな影響を与える可能性があります。こうした状況の中で、北海道の景気は慎重に推移していくことが予想されます。
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