2025年1月16日
労務・人事ニュース
北海道の11月雇用情勢:新規求人数が21か月連続で減少
道内の雇用失業情勢《概要版》(令和6年11月)(北海道労働局)
北海道労働局の令和6年11月の雇用情勢に関するデータを基に、現状の雇用市場動向を説明します。11月の新規求人数は25,764人で、対前年同月比で7.3%減少し、これで21か月連続の減少となっています。新規求職申込件数も13,537件で4.0%の減少を記録し、こちらも4か月連続で減少しています。この減少傾向は、労働市場全体で顕著であり、特に主要8産業のうち7産業で新規求人数が減少しています。一方で、運輸業・郵便業のみが増加していることが特筆されます。
有効求人倍率については、正社員求人倍率が前年同月と同じ0.84倍で推移しており、道内全体の有効求人倍率は0.99倍となっています。これにより、前年同月を0.05ポイント下回る結果となり、20か月連続で低下が続いています。この状況は、北海道内の雇用情勢が改善基調にあるものの、依然として弱含みの動きが見られることを示しています。
雇用市場全体の規模をみると、月間有効求人数は79,079人で対前年同月比で7.4%減少、また月間有効求職者数は80,057人で同じく2.8%の減少となっています。このデータは、労働市場の需要と供給がともに減少していることを反映しており、地域経済の回復力が十分でないことを示唆しています。特に、物価上昇の影響が雇用に及ぼす影響を慎重に見守る必要があると考えられます。
この情勢をさらに深く分析すると、新規求人数が20か月以上減少していることは、雇用創出力が弱まっていることを示唆しています。これは、特に製造業や観光業など、地域経済の柱となる産業における雇用需要の低下が背景にあると考えられます。一方で、運輸業・郵便業が新規求人数で増加している点は、物流需要の高まりや電子商取引の成長が関連していると推察されます。この点を地域経済活性化の一環として注視することが重要です。
さらに、ハローワークインターネットサービスの機能拡充により、求職登録や求人応募のオンライン化が進んでいることも、雇用情勢に一定の影響を及ぼしていると考えられます。この変化は、特に若年層やITリテラシーの高い層にとって利便性を向上させる一方で、従来の対面での求職活動に依存している層には課題となり得るため、今後の政策の焦点となるでしょう。
北海道の労働市場は、このように多くの課題を抱えていますが、これを克服するための取り組みも進められています。例えば、地域産業の強化や新規事業創出を支援する政策が重要です。また、求職者と求人のマッチングを促進するためのプログラムや、職業訓練の充実も鍵となります。
まとめると、北海道の雇用情勢は改善傾向が見られるものの、依然として新規求人数や有効求人倍率の低下が続いており、地域経済の安定的な成長が急務となっています。今後、物価上昇や経済構造の変化に対応した柔軟な政策が求められます。
⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ