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2024年9月3日

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北海道内での労働災害、建設業で死亡者数が最多に、全体の33.3%を占める

令和6年(1月~7月末)の死亡労働災害による被災者は24人に(北海道労働局)

令和6年1月から7月末までの労働災害に関する最新の報告が公表されました。この期間における北海道内での労働災害による死亡者数は24人で、前年同期と比較して4人減少し、14%の減少となりました。また、休業4日以上の死傷者数は4,168人で、前年同期より244人減少しています。これにより、労働災害の発生が一定程度抑制されていることが示されていますが、依然として多くの労働者が命や健康を脅かされています。

特に建設業においては、死亡者数が8人と他の業種に比べて圧倒的に多く、全体の33.3%を占めています。畜産業でも3人が亡くなり、これは全体の12.5%にあたります。製造業、陸運業、農業ではそれぞれ2人が死亡しており、これらの業種もリスクの高い労働環境にあることが浮き彫りになっています。林業では1人が亡くなっていますが、この業種もまた非常に危険な作業が伴うことが分かります。

事故の原因別に見ると、「はさまれ、巻き込まれ」が6人で全体の25.0%を占め、最も多い原因となっています。次いで「墜落、転落」が4人(16.7%)であり、これらの事故は高所での作業や重機の使用が関係するケースが多いと考えられます。また、「崩壊、倒壊」、「おぼれ」、「切れ、こすれ」、「交通事故(その他)」がそれぞれ2人(8.3%)ずつ発生しており、職場環境や作業内容に応じた多様なリスクが存在することが明らかになっています。これらの事故原因は、労働者の命を守るためにどの業界でも注意を払うべき重要なポイントです。

休業4日以上の死傷災害に関しては、保健・衛生業が848人と最も多く、全体の20.3%を占めています。次いで商業が604人(14.5%)、製造業が583人(14.0%)、陸運業が433人(10.4%)、建設業が386人(9.3%)となっています。これらのデータからは、日常的に多くの労働者が事故に遭遇している現状が浮き彫りになり、特に保健・衛生業や商業といった一見安全そうに思える業種でも重大なリスクが存在することがわかります。

事故の型別では、「転倒」が1,326人(31.8%)と最も多く、次いで「墜落、転落」が558人(13.4%)、「動作の反動、無理な動作」が485人(11.6%)と続いています。「転倒」は特に高齢化が進む職場で多発する傾向があり、対策が急務です。また、「はさまれ、巻き込まれ」が316人(7.6%)と、これも重大なリスクとして挙げられます。これらのデータをもとに、各事業場では労働災害防止に向けた具体的な取り組みが求められています。

北海道労働局はこれらの状況を受けて、いくつかの重要な対策を発表しています。まず、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施し、各事業場における熱中症対策を強化しています。特に8月は熱中症のリスクが最も高まる時期であり、暑さ指数(WBGT)の把握と活用、設備的な対策、教育などを通じて、労働者の安全を確保するための具体的な取り組みが求められています。

また、「転倒労働災害防止対策」にも力を入れており、災害発生の環境要因の解消(ハード対策)や、労働者の高齢化に伴う身体機能の低下への対策(ソフト対策)が必要とされています。これらの対策は、全産業及び介護施設において特に重要視されており、事業者向け及び労働者向けのリーフレットや「転倒等リスク評価セルフチェック票」などが提供されています。これにより、各職場での安全衛生対策が進むことが期待されています。

さらに、「第75回全国労働衛生週間」が令和6年10月1日から7日まで実施され、準備期間として9月1日から9月30日までが設定されています。この期間中には、職場巡視やスローガン掲示、労働衛生に関する講習会・見学会の開催など、労働者の健康管理や職場環境の改善を目的とした様々な活動が奨励されています。

これに加え、令和6年4月1日から施行された「足場からの墜落災害防止に係る法改正」も注目すべきポイントです。この法改正は、建設業を中心に発生する墜落災害を防止するために制定されており、リスクアセスメントの実施や作業内容に応じた適切な措置を講ずることが義務付けられています。この取り組みを通じて、労働災害撲滅に向けたさらなる進展が期待されます。

全体として、令和6年の労働災害の状況は前年に比べて改善が見られるものの、依然として多くのリスクが残されています。特に、建設業や保健・衛生業、商業などにおける安全対策の強化が求められており、具体的な行動が必要とされています。各事業場では、労働者の命と健康を守るため、日常的にリスクを見直し、安全対策を強化することが不可欠です。

⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ

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