2024年11月11日
労務・人事ニュース
北海道労働市場の現状:有効求人倍率0.97倍、求人数10.2%減少
令和6年9月の雇用失業情勢について(北海道労働局)
北海道労働局が発行した令和6年9月の雇用失業情勢に関するレポートによると、北海道内の雇用状況は全体的に厳しい状況が続いています。特に、令和6年9月の有効求人倍率は0.97倍で、前年同月から0.04ポイント低下しました。この指標は、求職者1人に対してどれだけの求人があるかを示すもので、1倍を下回る場合は、求職者の方が求人よりも多いことを意味します。前年同月と比べると、労働市場の悪化が続いていることがわかります。
新規求人数についても、前年同月比で10.2%減少しており、19か月連続で前年同月を下回る結果となりました。具体的には、令和6年9月の新規求人数は26,743人で、月間有効求人数は79,841人でした。この減少は主に建設業や製造業、卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業など、幅広い産業での求人数減少が影響しています。特に宿泊業と飲食サービス業では前年同月比で2.4%減少し、13か月連続で前年同月を下回っています。
求職者側の動向も同様に厳しく、新規求職申込件数は13,724件で、前年同月比で7.5%の減少を記録しました。月間有効求職者数は82,657人で、これも前年同月比で2.0%の減少となっており、求職者数も減少傾向にあります。このような状況の中、正社員の有効求人倍率は0.82倍で、前年同月の0.81倍とほぼ横ばいですが、正社員求人の減少が目立つ業界も多いです。
業種別に見ると、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売業、小売業など多くの産業で新規求人が前年同月を下回りました。例えば、建設業では前年同月比で9.8%減少し、求人数は2,946人となっています。製造業も11.6%減少しており、特に食料品製造業での求人数減少が顕著でした。一方で、情報処理・提供サービス業など一部の分野では求人が増加しているものの、全体としては減少傾向が続いています。
このように、北海道の雇用情勢は依然として厳しい状況が続いており、特に物価上昇や不確実な経済状況が雇用に与える影響が懸念されています。今後も引き続き、求人の減少が続く可能性が高いため、企業の採用担当者は労働市場の動向に注視する必要があります。特に、新規学卒を除く常用計では多くの業種で求人が減少しており、労働市場における需給バランスの悪化が進行しています。
企業が採用戦略を見直す際には、このような労働市場の変動に対応した柔軟な採用計画が必要です。特に、求人数が減少している業界においては、他の業界との競争が激化する可能性があり、より高度なスキルを持つ人材の確保が難しくなることが予想されます。また、雇用の安定性を高めるためには、正社員の採用に注力することが求められますが、現状では正社員求人の減少が続いているため、今後の採用計画においては非正規雇用とのバランスを考慮する必要があるでしょう。
特に北海道では、冬期の建設需要や生産活動が減少することから、季節的な要因によって求人・求職の動向が大きく変動することが多いです。そのため、季節調整値ではなく、原数値を用いた判断が推奨されています。季節調整値は、特に北海道のような積雪・寒冷地では、必ずしも正確な労働市場の動向を反映しないことがあるため、現場の実情に即したデータ分析が重要となります。
労働市場の動向に関するデータは、ハローワークインターネットサービスの拡充に伴い、オンライン上での求職登録や求人応募が増加していることも影響しています。このため、オンライン上でのデータが実際の労働市場の動向にどの程度反映されているかを見極めることも重要です。
北海道内の労働市場は、引き続き物価上昇や経済情勢の不確実性に大きな影響を受けています。企業の採用担当者は、こうした状況を踏まえて、採用活動の計画を立てる必要があります。特に、労働市場の変動が激しい中で、求職者のニーズに対応した柔軟な採用戦略が求められます。例えば、リモートワークの導入や、ワークライフバランスを重視した雇用条件の提示が、求職者に対するアピールポイントとなるでしょう。
最終的に、企業が持続的な成長を実現するためには、優秀な人材を確保することが不可欠です。そのためには、労働市場の動向に常に敏感であることが重要であり、特に北海道のような地域においては、季節的な変動にも対応した採用活動が求められるでしょう。
⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ