2025年1月23日
労務・人事ニュース
北海道観光業の過去20年で最高水準の来客数、地域経済への影響を徹底分析(令和6年12月)
景気ウォッチャー調査(令和6年12月調査)― 北海道(現状)―(内閣府)
北海道の最新経済状況に関する調査結果が発表され、観光や小売業を中心に好調な分野と課題が交錯する現状が浮き彫りになりました。2024年12月の「景気ウォッチャー調査」では、北海道の観光業界が過去20年間で最高水準の来客数を記録する一方、物価上昇の影響が消費者の購買意欲に影を落としています。このような経済環境の変化は、企業の採用活動にも新たな潮流をもたらしています。
観光業は、国内外からの旅行者が回復基調にあることから顕著な伸びを見せています。例えば、主要観光名所では、12月の来客数が20年間で最多となり、特に個人旅行者が大幅に増加しました。観光型ホテルでは高い稼働率が維持されており、観光需要の拡大が雇用市場にも好影響を与える可能性があります。一方で、観光客の増加に伴うインフラの対応や、地域間の競争激化が懸念されており、持続的な成長には計画的な対応が求められます。
小売業では、土産物店や百貨店がインバウンド需要を背景に売上を拡大させています。具体的には、土産物店での12月売上は、前年同月比で119.2%増加し、数年ぶりの高成長を記録しました。しかし、地元住民の購買力は低下傾向にあり、燃料費や食料品の価格上昇が大きな影響を及ぼしています。特にスーパーでは、顧客が買い物の頻度を減らし、買上点数を絞る動きが顕著に見られます。
輸送業や建設業も地域経済において重要な役割を果たしています。輸送業では、農産品の輸送が例年を上回るペースで進む一方、冬季の貨物輸送全体は落ち込みが見られ、トレーラー輸送能力の縮小も懸念されています。建設業では、労働者不足や資材価格の高止まりといった課題を抱えながらも、公共投資と民間投資が堅調に推移しています。
これらの産業動向は、地域の雇用市場にも直接的な影響を与えています。例えば、求人市場では営業系やシステム系職種の需要が顕著に増加しており、企業の売上拡大を目指す動きがうかがえます。しかし、求職者のスキルと企業の要件が一致しないミスマッチが依然として課題です。求人数は増加しているものの、アルバイトやパートの求人は飲食業を中心に減少傾向にあります。デジタル化や省人化が進む中、企業は効率的な採用戦略を模索する必要があります。
一方で、観光や飲食、商業施設など一部の業種では、インバウンド需要が好調にもかかわらず、物価上昇や景気の不透明感が地元住民の購買意欲を低下させている現実があります。このような背景の中、企業は消費者ニーズに応じた商品やサービスの提供を強化するとともに、採用においてもスキルのある人材の確保が重要です。
2024年の経済環境を踏まえると、地域経済全体の成長を実現するためには、産業間の連携を強化し、インフラ整備や労働環境の改善を進める必要があります。特に観光業の好調を他産業に波及させる施策が求められます。同時に、企業の採用担当者は変化する労働市場に迅速に対応し、多様な人材を活用する戦略を打ち立てることが重要です。
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