2025年1月25日
労務・人事ニュース
北関東の経済動向調査結果発表 観光業がインバウンド需要で回復基調(令和6年12月)
景気ウォッチャー調査(令和6年12月調査)― 北関東(先行き)―(内閣府)
令和6年12月に実施された北関東の景気ウォッチャー調査では、各業界や職種からの回答が収集され、地域経済の先行きに関する多様な見解が示されました。この調査では、特に観光業や小売業、自動車関連業界における動向が注目されています。全体として、回答者の意見は慎重な楽観主義と不透明な状況の中での悲観論が混在しており、地域経済の安定と成長の可能性を見極めるための重要な資料となっています。
まず、観光業における注目点として、インバウンド需要の動向が挙げられます。旅行代理店の回答によれば、年末の降雪によりスキーや雪景色を目的とした訪日観光客の増加が期待されています。一方で、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの再流行が懸念され、これが宴会や宿泊需要に影響を与える可能性が指摘されました。また、地域内の祭礼や行楽シーズンが訪れる春には県内旅行者の増加が予想されており、好天が続けば地域の観光収益を押し上げる可能性があるとみられています。
小売業では、物価高の影響が顕著に表れており、多くの店舗で集客力の低下が課題として挙げられました。特に、精肉店や青果店では生産環境や気候変動が商品の品質に影響を与え、売上が減少していると報告されています。一方、土産物店では円安を背景に訪日観光客の購買意欲が高い状態が続いており、これが売上の底支えになっている状況です。また、百貨店や一般小売業では生活必需品の値上がりが消費マインドの低下を引き起こし、購買意欲が伸び悩んでいることが課題とされています。
自動車関連業界では、地域の自動車メーカーの生産状況が順調に推移しているものの、米国の新大統領による政策の影響が懸念されています。また、輸送用機械器具製造業では主要取引先の生産減少が予測されており、これが地域経済全体に与える影響が注視されています。一方で、乗用車販売店では街の雰囲気が明るく、一定の需要が見込まれるとの楽観的な見解も示されました。
飲食業界では、年末年始のイベント需要により人出が増える一方で、物価高や給与の伸び悩みが外食需要を抑制しているとの意見が出ています。特に居酒屋や給食部門では、食材費や人件費の上昇が収益を圧迫しており、長期的な安定には課題が多いとされています。また、一般レストランの経営者からは、単価の引き上げが必要である一方で、消費者の節約意識が高まっている現状では難しいとの声も聞かれました。
さらに、雇用状況についても多様な意見が寄せられました。医療や福祉分野では求人数が増加傾向にある一方で、建設業や製造業では減少傾向が続いています。また、派遣社員を含む雇用市場では人材不足が深刻化しており、賃上げが進めば求職者の動きが活発化するとの見通しが示されています。ただし、派遣社員の採用枠が減少していることから、企業の採用活動に工夫が求められる状況です。
総じて、北関東地域の経済は、物価高や人件費の上昇といった厳しい経済環境の中で慎重な見通しを維持しつつも、観光業を中心とした一部の明るい兆しが地域経済を支える重要な要素となっています。各業界は今後も不確実性の高い環境の中で、戦略的な対応を求められるでしょう。
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