2025年2月24日
労務・人事ニュース
北陸の景気ウォッチャー調査が示す現実、節約志向と消費者心理の変化(令和7年1月)
景気ウォッチャー調査(令和7年1月調査)― 北陸(現状)―(内閣府)
北陸地域の最新経済状況に関する調査によると、さまざまな業界で明暗が分かれる結果となった。令和7年1月に実施された景気ウォッチャー調査では、地域経済が緩やかに回復している業界がある一方で、依然として厳しい状況が続く業界も多いことが明らかになった。
商店街の動向をみると、春節の訪日中国人観光客が戻りつつあり、例年並みの売上を維持する店舗もあったが、日本人客の消費意欲は依然として低調だった。特に、正月商戦では元日営業の百貨店で福袋を求める行列ができたものの、北陸新幹線延伸の効果が一巡し、日常的な買い物客の数は伸び悩んでいる。さらに、感染症拡大の影響を受けて人出が減り、百貨店のイベント時を除くと周辺駐車場の空きが目立つ状況だった。
食品小売業界では、物価高の影響を受けた節約志向が強まり、スーパーの来客数は増えたものの、購入単価が下がる傾向がみられた。特に、価格の上昇が顕著な牛肉の売れ行きが鈍く、豚肉や鶏肉といった比較的安価な商品の需要が高まっている。食品の値上げに加え、ガソリン価格の上昇が消費者の購買行動に影響を与えているとの指摘もあった。
一方で、自動車販売業界では、新車の受注が徐々に改善しているものの、依然として慎重な消費者が多く、大幅な回復には至っていない。特に、雪が少なかったことが影響し、板金や塗装の入庫件数が減少するなど、冬場の需要が伸び悩んでいる。
住宅市場では、能登半島地震から1年が経過し、被災者の将来の方針が固まりつつあることから、新築やリフォームの問い合わせが増えている。また、新規の分譲地販売が進んでいることから、今後の住宅市場の動向に注目が集まる。しかし、日本銀行の利上げに伴い、住宅購入に対する不安が広がっていることもあり、慎重な姿勢をとる消費者が多い。
観光業界では、新幹線延伸の効果が一巡し、旅館やホテルの宿泊客数が減少傾向にある。特に、インバウンド需要が期待される都市型ホテルでは、日本人宿泊客の団体旅行が少なく、レストランの売上にも悪影響を及ぼしている。宴会部門は前年より回復しているが、人数が少なく、収益面では厳しい状況が続いている。
飲食業界に目を向けると、年末年始の外食需要はそれなりにあったものの、消費者の財布の紐は固くなり、1人当たりの外食頻度や金額が減少している。物価高騰による家計の自由度低下に加え、米国の政治変動に対する漠然とした不安が消費意欲の低下につながっているとの声もあった。
製造業では、一般機械器具製造業の受注量がわずかに増加し、一部の電気機械器具製造業では車載向け製品の生産増加が見込まれている。しかし、全体としては大きな伸びが期待できず、依然として業績の低迷が続いている業界も多い。食料品製造業では、震災からの復旧が進んでいるものの、受注が震災前の水準に戻らず、依然として厳しい状況にある。
輸送業では、前年同月と比べて物量に変化がなく、政府の燃料油価格補助金の縮小が新たな課題となっている。また、不動産業界では、活発な取引が少なく、購入者の動きが鈍いとの指摘があった。
雇用市場では、有効求人倍率が2か月連続で2倍を超えたものの、原材料費や光熱費の高騰、賃上げといった企業を取り巻く環境は依然として厳しい。派遣業界では求人が高止まりの状態が続いているものの、新規案件の増加が見られず、短時間勤務を希望する求職者とのマッチングが難しくなっている。
北陸地域の経済は、回復の兆しを見せる業界と低迷が続く業界が混在する状況が続いている。今後は、物価上昇や消費者マインドの変化、震災復興の進捗がどのように影響を及ぼすかが注目される。
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