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2024年8月1日

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医師確保策強化へ、医学部定員最大9,403人に拡充!地域枠も1,736人に増加

第372回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料1-1 医師確保策について(厚労省)

厚生労働省は医師確保策として、医師養成数の増加と地域枠の拡充を中心に進めています。昭和57年の閣議決定では、医師の過剰を招かないよう配慮されてきましたが、平成20年度以降は医学部の入学定員が増加し、令和2年度には過去最大規模となっています。特に地域医療に従事する医師を養成するための地域枠も増加しており、平成19年度には173人(2.3%)だったのが、令和4年度には1,736人(18.8%)となりました。地域枠を設けることで、地域医療の充実を図る狙いです。

また、医師数の年次推移を見ると、1970年には約436人に1人が医学部に進学していたのが、2024年度には約116人に1人、2050年には約85人に1人が医学部に進学する見込みです。これにより、医師の養成数は増加の一途をたどっています。

医師需給のバランスも重要です。労働時間を週60時間程度に制限する「需要ケース2」に基づいた推計では、2023年の医学部入学者が医師となる2029年頃に均衡すると見込まれています。さらに、医師の偏在を解消するための取り組みも行われています。医師偏在指標を用いて地域ごとの医師数を把握し、医師多数区域から少数区域へ医師を派遣するなどの措置が講じられています。

具体的な施策としては、地域医療対策協議会と地域医療支援センターの連携が重要です。地域医療対策協議会は医師養成や派遣調整などを協議し、地域医療支援センターはその協議結果に基づいて医師確保対策を実施します。また、医師不足地域の医師確保と派遣医師の能力開発を両立するためのキャリア形成プログラムもあります。認定医師制度の活用も進められており、医師少数区域に一定期間勤務した医師を厚生労働大臣が認定する制度が設けられています。

大学医学部の役割も重要です。中長期的な観点から医師の需要と供給を推計し、全国の医師養成数を検討しています。特定の地域や診療科で診療を行うことを条件とした地域枠の活用方針も検討されています。臨床研修においても、全国の研修希望者に対する募集定員の倍率を縮小し、都市部や複数医学部を有する地域の定員を圧縮する一方で、医師少数地域に配慮した定員設定を行っています。

専門研修では、日本専門医機構が将来の必要医師数の推計を踏まえて、都道府県別・診療科別の専攻医の採用上限数(シーリング)を設定し、地域と診療科の偏在を是正しています。これにより、特に確保が必要な診療科や地域枠医師についてはシーリング対象外とするなど、柔軟な対応が図られています。

医師の働き方改革も進められています。医療勤務環境改善支援センターを通じて、医療機関への支援を強化し、適切な労務管理や労働時間の短縮を推進しています。具体的には、医療機関における医師労働時間短縮計画の作成や健康確保措置を通じて、医師が安心して働ける環境づくりが進められています。また、出産・育児・介護などのライフイベントを経験する医師が仕事と家庭を両立できるようにするための勤務環境の改善も重要視されています。

さらに、都道府県ごとに設置された医療勤務環境改善支援センターなどを通じて、医師の働き方改革を推進しています。これにより、医療機関における医師労働時間の短縮や健康確保が行われ、医師が安心して働き続けられる環境が整備されています。

総じて、厚生労働省は医師確保策として、医師養成数の増加や地域枠の拡充、医師の偏在解消策、働き方改革など多岐にわたる施策を展開しています。これにより、地域医療の充実や医師の偏在解消を図り、国民の健康を支える医療体制の強化を目指しています。医師確保策の継続的な改善と実施により、日本の医療システムがさらに発展し、全ての地域で質の高い医療サービスが提供されることが期待されています。

参考:資料1-1 医師確保策について

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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