2024年8月1日
労務・人事ニュース
医療・介護・保育分野の求人充足!全国117カ所のハローワークで5.3万人が就職
第372回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料2-2 ハローワークの人材確保の取組の現状(厚労省)
ハローワークの人材確保対策について、特に医療・介護・保育分野における具体的な取り組みとその成果が示されています。主要なハローワークには「人材確保対策コーナー」が設置されており、求職者と求人者の双方に対して充実したサポートを提供しています。これにより、求職者が安心して仕事に就ける環境を整え、求人者が適切な人材を確保できるよう努めています。
まず、医療・介護・保育分野の求人充足を図るために、求職者に対してはマンツーマンの職業相談や職業紹介を行い、求人者に対しては求人条件の見直しや求人票の書き方のコンサルティングを行っています。さらに、業界団体や関係機関と連携し、業界の魅力を発信するためのセミナーや就職面接会、職場見学会を頻繁に開催しています。これにより、求職者と求人者のマッチング機会を提供し、実際に多くの就職を実現しています。
具体的な事例として、看護師の求人充足を図るために、看護師等を募集している病院での面接と施設見学をセットにしたツアー型面接会が実施されています。このような取り組みを通じて、ハローワークは約5.3万人の就職を支援しており、その中で医療分野は16,041人、介護分野は27,360人、保育分野は5,385人という成果を上げています。
一方で、介護分野の人材確保については特に力を入れており、離職率の改善を図るための支援も行っています。介護職員の離職率は低下傾向にありますが、事業所別に見ると離職率が高いところも多く、ハローワークと介護労働安定センターが連携して総合的な支援を行っています。具体的には、人材確保対策コーナーを中心に、求人条件の緩和や職場環境の改善を支援し、採用後の定着を促進するための専門的なサポートを提供しています。
さらに、ハローワークのサービスをより多くの人に利用してもらうために、「ハローワークインターネットサービス」の機能強化が進められています。オンラインでの求人登録、職業相談、職業紹介、セミナーや面接会の実施などが可能になっており、求職者と求人者の利便性が大幅に向上しています。これにより、感染リスクを避けつつ、効果的なマッチングが実現しています。
介護業界においては、特定の事業所で人材が定着しない問題を解決するために、ハローワークと介護労働安定センターが連携して専門家を派遣し、雇用管理の改善を支援しています。例えば、人事管理制度や賃金体系の見直し、ICT導入などを行い、求人条件や職場環境の総合的な改善を図っています。このような取り組みにより、離職率が高い事業所に対しても持続可能な雇用環境を提供し、新たな人材の確保と定着を目指しています。
また、具体的な支援事例として、東京都内の特別養護老人ホームでの介護職員募集において、求人票の詳細化や求人条件の緩和、ツアー型面接会の開催を提案し、実際に多くの応募者を集め、採用に結びつけています。このような支援により、求人充足率の向上を図るとともに、求職者にとっても魅力的な働き方を提案しています。
保育分野においても、複数の保育園を運営する法人に対して、各園の特徴や魅力を求人票に反映させるよう提案し、具体的な求人内容の見直しを行っています。また、高齢者や外国籍のスタッフの採用を進めるために、ターゲット層に向けた広報活動を強化し、ツアー型面接会を開催しています。このような取り組みにより、多様な人材の確保と定着を実現しています。
最後に、ハローワークのオンラインサービスの強化についても言及しています。求職者と求人者がオンラインでスムーズにやり取りできるよう、各種サービスのオンライン化が進められており、求職者はハローワークに出向かずに職業相談や職業紹介を受けることができるようになっています。これにより、より多くの人が気軽にハローワークのサービスを利用できるようになり、マッチングの精度も向上しています。
以上のように、ハローワークの人材確保対策は、多岐にわたる支援活動を通じて、医療・介護・保育分野の求人充足と人材の定着を図っています。これらの取り組みは、求職者と求人者の双方にとって大きなメリットをもたらし、地域の雇用状況の改善に貢献しています。
参考:資料2-2 ハローワークの人材確保の取組の現状
よくある質問Q&A
Q1:医療・介護・保育分野の人材確保対策コーナーの設置状況はどうなっていますか?
A1:主要なハローワークに「人材確保対策コーナー」が設置されており、全国で117カ所に設置されています。
Q2:令和5年度の医療・介護・保育分野の就職支援実績はどのくらいですか?
A2:ハローワーク全体で約17.2万人が就職し、そのうち医療分野は16,041人、介護分野は27,360人、保育分野は5,385人が就職しました。
Q3:介護ロボット体験会を含む就職相談会の開催実績はどのくらいですか?
A3:令和5年度には業界団体や自治体と連携して、延べ約5,800回のセミナーや就職面接会、職場見学会を開催しました。
Q4:介護職員の離職率はどのように変化しましたか?
A4:介護職員の離職率は低下傾向にあり、平成29年度の16.2%から令和4年度には14.4%に改善しました。
Q5:介護業界の離職率の現状はどのようなものですか?
A5:介護職員の離職率は低下しているものの、事業所別に見ると離職率が10%未満のところが半数である一方、30%以上の事業所も17.4%存在します。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ