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2024年8月13日

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千葉労働市場の有効求人倍率0.98倍、求人減少も物価上昇の影響に警戒

最近の雇用失業情勢(令和6年6月分)(千葉労働局)

千葉労働局が発表した令和6年6月の雇用失業情勢について、詳細にわたって報告します。この報告は、県内の雇用環境が持ち直しの兆しを見せつつも、依然として弱さを抱えていることを示しています。物価上昇などの要因が雇用に与える影響にも注意が必要です。

まず、有効求人倍率(季節調整値)は受理地別で0.98倍、就業地別で1.21倍となり、いずれも前月から0.01ポイント上昇しました。新規求人倍率も受理地別で1.91倍と前月から0.17ポイント上昇しており、求人数の増加が見られます。一方で、新規求職者数は減少しており、特に正社員の有効求人倍率は前年同月と同水準の0.73倍となっています。

有効求人数(原数値)は前年同月と比較して2.9%減少しており、13ヵ月連続の減少を記録しました。また、新規求人数(原数値)も前年同月比で7.3%減少し、2ヵ月連続で減少が続いています。産業別に見ると、情報通信業では31.2%の増加が見られる一方で、卸売業や小売業では22.8%の減少が顕著です。

一方、有効求職者数(原数値)は前年同月と比べて0.4%増加しており、9ヵ月連続の増加を示しています。ただし、新規求職者数は9.9%減少し、2ヵ月連続で減少しています。この傾向は、求職者が労働市場に参入する意欲が低下している可能性を示唆しているかもしれません。

雇用保険受給者の状況についても触れておきます。雇用保険受給者の実人数は17,342人で、前年同月比で3.5%減少しており、3ヵ月ぶりの減少を記録しました。また、受給資格決定件数も前年同月比で16.6%減少しており、受給者数の減少が見られます。

全国的な動きとして、厚生労働省が発表した令和6年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍で、前月から0.01ポイント低下しました。一方で、新規求人倍率は2.26倍と前月から0.10ポイント上昇しています。有効求人数は前月比0.1%減少し、有効求職者数は0.6%増加しています。産業別に見ると、製造業や生活関連サービス業、娯楽業、建設業、教育・学習支援業、その他サービス業などで減少が顕著であり、これらの産業での雇用環境の悪化が伺えます。

また、月間の有効求職者数や新規求職申込件数、月間有効求人数、新規求人数など、各種指標においても前年同月比での増減が確認されており、求人倍率の動向にも影響が及んでいます。特に、新規求人倍率(季節調整値)は1.91倍と上昇傾向を示していますが、新規求職者数が減少していることから、求人側と求職側のミスマッチが生じている可能性が考えられます。

求職者側の動向としては、有効求職者数(原数値)が増加している一方で、新規求職者数の減少が続いており、特に若年層や中高年層における求職活動の低調さが指摘されます。これにより、求職者が長期的に職を探し続けるリスクが増加していることが懸念されます。

企業側の求人動向についても注目すべき点があります。情報通信業や医療・福祉、サービス業(他に分類されないもの)では求人の増加が見られるものの、卸売業や小売業、製造業などの伝統的な産業では求人が減少しており、業種による求人状況のばらつきが明らかになっています。特に、労働市場におけるデジタルスキルの需要が高まっている一方で、伝統的なスキルを持つ労働者にとっては求人の選択肢が限られてきている現状があります。

今後の雇用情勢を見通す上で、物価上昇や景気の動向が労働市場に与える影響についても考慮する必要があります。特に、インフレーションの進行により生活費が上昇し、これが労働者の生活に直接的な影響を与える可能性が高まっています。このような経済的背景の中で、求職者がどのように対応していくかが、今後の雇用市場の動向を左右する要因となるでしょう。

総じて、千葉県内の雇用失業情勢は、回復の兆しが見えるものの、依然として多くの課題を抱えています。求人倍率の上昇は一定の改善を示していますが、新規求職者の減少や産業別の求人動向のばらつきなど、雇用市場の不安定さが続いています。これらの課題に対処するためには、政府や地方自治体による効果的な支援策の実施が求められます。また、労働市場のミスマッチを解消するために、求職者と企業の間でより良いコミュニケーションを促進し、適切な人材の配置が進められることが重要です。

⇒ 詳しくは千葉労働局のWEBサイトへ

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