2024年6月24日
労務・人事ニュース
南海トラフ周辺の地震活動に特段の変化なし、5月中の観測結果

2024年5月の地震活動の評価(地震本部)
2024年5月の地震活動についての詳細な報告が公開されました。この期間の日本及びその周辺地域の地震活動を振り返ると、目立った活動は少なかったものの、特定の地域では注目すべき動きが観測されました。特に石川県能登地方では、今年1月に発生したM7.6の大地震に続いて、6月3日にM6.0の地震が発生し、依然として活発な活動が続いています。この地域では、2020年12月から地震活動が活発化し、2024年5月までに震度1以上を観測した地震が2351回に達しています。
2024年5月中、関東・中部地方では、5月10日に発生したM3.8の地震が最大規模であり、他にも茨城県南部でM4.7の地震が記録されました。また、6月3日には能登地方で再び大きな地震が発生し、この地震は逆断層型で北西-南東方向に圧力軸を持っていました。この地震による地殻変動も観測されており、震央周辺では最大2cmの水平変動及び3cmの隆起が見られました。
北海道地方と東北地方では、特筆すべき地震活動は見られませんでした。近畿・中国・四国地方でも、特に目立った活動はありませんでしたが、2023年春頃から四国中部で観測されている地殻変動が継続していると報告されています。
九州・沖縄地方では、5月31日に熊本県熊本地方でM4.7の地震が発生しました。この地震は南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生したものでした。また、南海トラフ周辺では、大規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていません。
さらに、5月21日には父島近海でM5.6の地震が発生しました。この地震は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ型でした。また、5月26日には茨城県南部の深さ約65kmでM4.7の地震が発生し、これは太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震でした。
GNSS観測によると、2022年初頭から静岡県西部から愛知県東部にかけて、それまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。これは渥美半島周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと考えられます。これに対して、四国中部では2019年春頃からの異常な地殻変動が2023年秋頃から一時的に鈍化しましたが、最近では再び継続している様子が見られます。
これらの観測結果を総合すると、南海トラフ地震の発生可能性について特段の変化は観測されておらず、平常時と比べて特に高まっているというデータはありません。ただし、プレート境界の深部で発生する短期的なゆっくりすべりや低周波地震(微動)は従来から繰り返し観測されており、これらの現象が引き続き注視されています。
以上が2024年5月の地震活動の概要です。今後も地震活動や地殻変動の観測を継続し、大規模地震の発生に備えることが重要です。
⇒ 詳しくは地震調査研究推進本部のWEBサイトへ