2025年3月12日
労務・人事ニュース
卸売業・小売業の平均月間実労働時間は128.4時間!前年比1.0時間減(毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報)
毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)卸売業 小売業
令和6年の毎月勤労統計調査によると、卸売業・小売業の平均月間実労働時間は128.4時間で、前年比1.0時間の減少が確認された。この減少は、業界全体での労働時間短縮の取り組みが進んでいることを示しているが、特に小売業では営業時間の見直しやシフト管理の最適化が進んでいることが影響していると考えられる。
内訳を詳しく見ると、所定内労働時間は121.3時間で、前年比0.9時間の減少となった。この減少は、企業が従業員の労働時間を適正に管理し、過度な労働を抑制する動きが広がっていることを示している。特に、大手チェーン店などでは、営業時間の短縮やセルフレジの導入による業務効率の向上が進んでおり、所定内労働時間の削減につながっている。一方で、小規模な小売業や個人経営の店舗では、依然として長時間勤務が求められるケースもあり、業界全体での労働環境の改善には課題が残っている。
一方、所定外労働時間(残業時間)は7.1時間で、前年比1.3時間の減少が見られた。このデータから、卸売業・小売業界では残業時間の削減が加速していることが分かる。特に、小売業では人手不足が深刻化する中で、業務の効率化を進めることで労働時間の適正化を図る動きが広がっている。また、物流の自動化やAIを活用した在庫管理システムの導入などが進み、従来よりも短い労働時間で業務を遂行できるようになっている。
月間出勤日数については、17.5日で前年より0.1日減少している。この減少は、シフト制の見直しや週休2日制の定着が進んでいることを示している。特に、小売業ではこれまでの長時間労働の慣習を改め、ワークライフバランスを重視する企業が増えていることが影響している。一方で、繁忙期には依然として出勤日数が増える傾向があり、季節変動による労働負担の偏りが課題となっている。
企業の採用担当者にとって、このデータが示すポイントは、労働時間の短縮が進む中で、どのように業務の効率化と人材確保を両立させるかという点にある。卸売業・小売業は、接客や物流の管理など、多岐にわたる業務が求められる業界であり、労働時間の適正化を進めながらも、従業員のモチベーション維持やサービス品質の向上が求められる。そのため、企業は給与体系の見直しや、スキルアップ支援を行うことで、人材確保に努めることが重要になる。
また、今後の課題として、労働時間の短縮とサービス向上の両立が求められる。特に、小売業では、人手不足の影響で従業員の負担が増加する傾向にあり、長時間労働を完全に解消することが難しい状況が続いている。そのため、セルフレジの普及やECサイトの活用など、新しい技術を導入することで、労働環境の改善を図ることが求められる。
今後の展望として、卸売業・小売業はデジタル技術の進展により、大きな変革が進む業界の一つである。特に、キャッシュレス決済の普及や自動化技術の導入が進むことで、業務の効率化が加速すると考えられる。一方で、対面接客の重要性も引き続き求められるため、企業は、労働時間の適正化を進めながらも、顧客満足度の向上を目指すことが必要となる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ