2024年8月1日
労務・人事ニュース
厚生労働省、看護職員の新規養成・復職支援・定着促進の三本柱で2030年までに180.1万人の看護職員確保を目指す
第372回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料1-2 看護職員確保の取組について(厚労省)
厚生労働省医政局は、2021年4月1日に看護職員確保の取り組みについて詳細な報告を行いました。看護職員の確保に向けた施策の主要な柱として、「新規養成」「復職支援」「定着促進」の三本柱を掲げています。
まず、新規養成の面では、地域医療介護総合確保基金を活用し、看護師等養成所の整備や運営に対する財政支援を行います。特に、社会人経験者が看護関係資格を取得するための専門実践教育訓練を受講する場合には、給付金の支援を行うことで、看護職員の新規参入を促進しています。
次に、復職支援の分野では、都道府県ナースセンターが無料職業紹介や情報提供、相談対応を通じて、潜在看護職の復職を支援します。また、デジタル改革関連法に基づき、「看護職の人材活用システム」を構築し、ナースセンターによる多様なキャリア情報の把握と活用を通じて、復職支援を充実させます。このシステムは2024年度から運用開始予定で、看護職員の復職をさらに後押しするものです。
さらに、定着促進の取り組みとしては、地域医療介護総合確保基金を活用し、病院内保育所の整備や仮眠室・休憩スペースの新設・拡張など、勤務環境の改善を支援します。また、都道府県医療勤務環境改善支援センターにおいて、看護職員を含む医療従事者の勤務環境改善のための体制整備を支援します。これにより、看護職員が働きやすい環境を整え、定着を促進することを目指しています。
看護職員の需要と供給についても詳細に分析されています。看護職員の就業者数は2020年に173.4万人に達し、増加傾向にありますが、2025年にはさらに180.1万人の需要が見込まれています。特に訪問看護に従事する看護職員の需要が大幅に増加する見込みであり、これに対応するための人材確保が急務となっています。
地域別の看護職員の需給状況についても触れられています。2020年の時点で、31の自治体において供給数が2025年の需要数を上回っている一方、都市部などでは依然として看護職員の不足が見込まれています。特に、訪問看護や介護保険サービスに従事する看護職員の確保が必要とされています。
また、看護職員の処遇改善にも取り組んでいます。2022年には看護職員処遇改善評価料が導入され、2024年にはベースアップ評価料が導入される予定です。これにより、看護職員の待遇を改善し、定着を促進することを目指しています。
地域医療介護総合確保基金を活用した看護職員の養成・確保に関する事業も多岐にわたります。看護師等養成所の施設・設備整備や、訪問看護の安定的な提供体制を整備するための支援、離職防止対策など、地域の実情に応じた総合的な看護職員確保対策を展開しています。
看護職員の就労環境改善のための施策も重要です。病院のナースステーションや仮眠室の拡張・新設、医療勤務環境改善支援センターの運営、院内保育所の整備など、多様な取り組みが進められています。これにより、看護職員が働きやすい環境を提供し、定着を促進しています。
最後に、看護職キャリアデータベースの整備も進められています。これは、看護職員の登録情報や業務従事状況、経歴などを一元管理するもので、マイナポータルを通じて看護職自身がキャリア情報にアクセス・利用できるようにするものです。これにより、看護職員の復職支援やスキルアップ支援が充実し、看護職員の資質向上が図られます。
このように、厚生労働省は看護職員の確保・定着に向けた総合的な施策を推進しており、看護職員の不足に対応するための取り組みを強化しています。これらの施策が効果的に実施されることで、看護職員の安定確保と質の向上が期待されます。
参考:資料1-2 看護職員確保の取組について
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ