2024年6月30日
労務・人事ニュース
和装文化の保護と振興を目指して 令和5年度調査報告書が明かす現状と提言
生活文化調査研究事業報告書 生活文化調査研究事業(和 装)報告書(令和5年度)(文化庁)
令和5年度の生活文化調査研究事業(和装)報告書が発表されました。この報告書は、和装文化の現状とその振興策を検討するための基礎資料として作成されました。文化庁は平成27年度から生活文化に関する調査研究を継続しており、和装分野に関する今回の調査もその一環として実施されました。
本調査研究事業の目的は、和装の現状を詳細に把握し、その保護・振興策の基礎資料とすることです。このために、和装の成立と変遷を把握する文献調査、国民の和装への興味関心に関する意識調査、和装団体や教室へのアンケート調査、和装用具・原材料の製造業者等へのヒアリング調査を行いました。
和装とは、和服を着用することや和服で装った姿を指します。明治時代に欧米型の衣服が導入されたことで、日本の伝統的な着物が「和服」「和装」と呼ばれるようになりました。和装には、礼装、準礼装、普段着などさまざまな種類があり、それぞれの用途に応じて異なる種類の着物や帯が使用されます。
現代の和装の担い手は、着物を日常的に着装する人々や、他者に着付けを行う専門技能者など多岐にわたります。着付け技能士は、着物の着付けに関する知識と技能を有し、技能検定試験に合格した者に与えられる資格です。また、和装産業に関連する製造業者、卸売業者、リサイクル着物店なども和装の担い手として重要な役割を果たしています。
和装の歴史は古く、奈良時代には唐風の衣服が導入され、その後、日本独自の服装文化が発展していきました。平安時代には貴族階級の服飾が定型化し、江戸時代には武士や町人の間で小袖が広まりました。明治時代以降、洋装化が進みましたが、昭和時代半ばまでは冠婚葬祭で和装が一般的でした。
現代の和装は、特別な機会に着用されることが多く、日常的な和装の機会は減少しています。しかし、レンタル着物の需要が増加し、観光地や旅行先での着用が広がっています。また、和装業界では、ファッション性の高い新しい着物やリサイクル着物の提案など、さまざまな取り組みが行われています。
この調査報告書は、和装の現状を把握し、その振興策を検討するための重要な資料として、今後の和装文化の保護と発展に寄与することが期待されています。
⇒ 詳しくは文化庁のWEBサイトへ