2024年11月23日
労務・人事ニュース
四国の観光需要が2019年超え!インバウンド効果で観光施設の集客が急増
景気ウォッチャー調査(令和6年10月調査)― 四国(現状)―(内閣府)
四国地方の現状に関する景気ウォッチャー調査結果を基に、地域の経済動向について分析を行います。2024年10月の調査結果では、観光業、小売業、飲食業を中心に一部の分野で回復の兆しが見られる一方、物価上昇や消費者の購買意欲低下といった課題も浮き彫りになっています。
観光業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、2019年を超える来客数を記録する施設も見られました。特に、近隣のコンベンションやイベント開催が観光需要を押し上げ、土産物店や飲食店での売上が好調だったことが挙げられます。また、インバウンド需要の回復も大きな要因となり、観光型旅館や遊園地では集客力が向上しているとの報告がありました。一方で、為替レートの変動がインバウンド消費に影響を与えており、円高による購買意欲の低下も懸念されています。
小売業の状況を見ると、値上げが来客数に与える影響が顕著に表れています。スーパーマーケットでは、客単価の上昇が売上を押し上げる一方で、来客数は横ばいか減少しているケースが目立ちます。特に、衣料品や住居関連品では物価高による節約志向が強まり、販売が苦戦している状況が続いています。これに加え、個人消費の低迷も影響を及ぼし、高額商品の売上が好調であった一方、単価の低い商品の販売が主流になっているとの指摘もあります。
飲食業では、テイクアウト需要の復活やイベント需要の増加により、ファーストフード業界が好調です。しかし、地元客の消費活動が停滞していることが報告されており、全体的な景気回復には課題が残っています。また、物価上昇が飲食業界全体に影響を与えており、コスト増加が経営を圧迫しています。
雇用市場においては、求人件数が増加傾向にあるものの、最低賃金の引き上げや年収の壁による影響が人手不足を招いている現状があります。これに伴い、企業の採用活動にも課題が見られ、特に中小企業では人材確保が難航しているという報告があります。人材派遣業界では、求人数の増加が景気回復の兆候として注目されていますが、現段階では顕著な改善は確認されていません。
製造業や流通業に関しては、価格上昇やコスト増が事業運営を困難にしています。木材木製品製造業では、受注量が回復傾向にあると報告されていますが、鉄鋼業や建設業では受注の減少が続いており、特に建設業では新規案件が極端に少なくなっているとの懸念が表明されています。農林水産業でも、収穫量の減少が収益に影響を与え、価格上昇が需要を押し下げている状況が見られます。
これらの調査結果から、四国地方では観光業を中心に回復の兆しが見られる一方、物価上昇や消費者心理の冷え込みが全体的な景気回復を阻む要因となっていることがわかります。特に、小売業や飲食業では物価高が直接的な影響を及ぼしており、企業側ではコスト削減や価格競争力の強化が求められています。また、雇用市場の改善には最低賃金引き上げや社会保険制度の見直しといった政策的な支援が必要不可欠です。
長期的な視点からは、地域経済の活性化には観光業を基盤とした持続可能な成長戦略が重要です。例えば、インバウンド需要をさらに活用するための取り組みや、地元の特産品や文化を活かしたマーケティング活動が有効と考えられます。また、地域住民が参加できるイベントの開催や観光施設のバリアフリー化を進めることで、幅広い層からの支持を得られるでしょう。
四国地方の景気動向は、国内外の経済状況や政策に大きく影響されますが、地元企業と自治体が連携して地域の課題に取り組むことで、今後の成長が期待されます。これらの取り組みが、住民の生活をより豊かにするだけでなく、地域経済全体の底上げにつながることを願います。
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