2024年12月21日
労務・人事ニュース
四国経済の最新動向:物価高騰下での消費者行動と業界別課題(令和6年11月景気ウォッチャー調査先行き)
景気ウォッチャー調査(令和6年11月調査)― 四国(先行き)―(内閣府)
四国地域の最新の景気動向に関する調査結果が明らかになり、地域の経済活動や雇用環境についての詳細な報告が発表されました。この調査は令和6年11月に行われ、地元経済連合会を中心に四国全域の多様な業界から得られた情報をもとにしています。結果からは、各業界が直面している課題とともに、地域経済の持続可能性に向けた新たな動きが浮き彫りになりました。
まず、四国地域の商業活動に関するデータによれば、長期化する物価高に対して「節約疲れ」という現象が消費者間で見られる一方、レジャーや観光、趣味関連の出費は引き続き堅調であることがわかりました。例えば、ある商店街の常務理事は、港湾地区の開発が地域の人流を活性化させる可能性に期待を寄せています。このような動きは、地域経済全体に波及効果をもたらすと見込まれています。
一方、物価高騰の影響は、各業種の売上やコストに大きく影響しています。家電量販店では、冬のボーナス商戦や新生活準備の需要が引き続き見込まれる一方で、光熱費の高騰により消費者の購入意欲が抑制される傾向も報告されています。また、一般小売業では仕入価格や運搬費の上昇が続いており、年度末の売上増加が期待されるものの、不安定な要素が依然として懸念材料となっています。
一部の業界では、景気の回復が期待されているケースもあります。例えば、農業においては、気温低下による作物の生育改善が報告されています。しかし、高温や干ばつの影響が依然として残っており、今後の天候次第では生産量に影響が及ぶ可能性があります。また、観光型旅館などの観光産業はインバウンド需要が高い水準を維持しており、県内の広範囲での観光客誘致が鍵となると指摘されています。
一方、雇用環境においては、大企業と中小企業間での格差が明確化しています。大企業は人手不足に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した省人化や賃上げ対応の設備投資を進める一方、中小企業では最低賃金の上昇や人件費増加への対応に苦慮しているとのことです。このため、中小企業における経営環境の厳しさが一層浮き彫りとなっています。
さらに、建設業や製造業においても、資材価格やコストの高騰、地政学的リスクの増加が不透明感を増大させています。これにより、受注動向や設備投資計画が停滞し、業界全体の景気先行きへの楽観的な見通しが薄れています。特に輸送業や建設業では、景気改善の兆しが見られないとの声が多く聞かれます。
一方で、食品製造業や広告代理業などでは、円安の影響を受けつつも値上げが売上増加につながる良いサイクルを生んでいるとされています。また、人手不足が深刻化している状況を背景に、採用関連広告や観光関連の広告需要が増加しており、関連業界にとっては一つの好材料となっています。
こうした状況を踏まえ、四国地域全体としては、物価高や地政学的リスクなど外的要因による影響が大きく、不確実性が高まる一方で、一部の業界で回復基調が見られる点が特徴的です。今後は、各業界が共に新たな戦略を模索し、地域経済の安定的な成長を目指す取り組みが求められると言えるでしょう。
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