労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 四国 人材派遣業で求職者の動き鈍化、採用活動は依然として停滞ムード(令和7年3月調査)

2025年4月25日

労務・人事ニュース

四国 人材派遣業で求職者の動き鈍化、採用活動は依然として停滞ムード(令和7年3月調査)

Sponsored by 求人ボックス

景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 四国(現状)―(内閣府)

令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査における四国地域の動向は、観光業を中心とした一部の分野で回復の兆しが見られる一方、物価上昇による家計の引き締まりや消費行動の選別化が強まり、地域経済全体における回復の足取りは依然として鈍いという実情が浮き彫りになっています。業種や事業形態によって景況感には大きな差があり、採用市場においても求職者の動きは低調であり、企業側の採用活動に対して慎重姿勢が見受けられます。これは、企業の採用担当者にとっては、単なる人員確保だけでなく、地域特性や消費動向を踏まえた柔軟な戦略の再構築が求められる状況といえるでしょう。

商業施設や商店街では、地域振興の取り組みによる効果が限定的に現れているものの、売上や来客数の回復には温度差が存在しています。たとえば、港湾地区に新設された1万人規模のアリーナでのイベント開催により、周辺商店街の通行量が前年比で2〜3割増加するなど、一定の集客効果が確認されています。また、卒業式や送別会シーズンに伴う贈答用の生花や書籍などの需要が一時的に増加し、外商売上の回復も見られたとする声もありました。しかしながら、商店街全体にとっての恩恵は限定的であり、特に宿泊を除く観光需要関連業種に対しては波及効果が弱いとされています。

小売業では、書籍や日用品などの生活必需品を扱う店舗では売上の維持が見られる一方、衣料品店においては客単価が前年比5%以上も減少し、来店頻度や販売量の伸びも見られず、消費者の購買意欲が依然として低調であることが示されています。とくにガソリンや食料品の価格上昇が家計に直接的な影響を与えており、衣料品や嗜好品といった消費の優先順位が低い商品にまで支出が回らない現状が顕著です。また、スーパーにおいては売上は増加傾向にあるものの、物価上昇分が大きく、経費の増加が利益を圧迫しているという実情も報告されました。

コンビニエンスストア業界では、客単価の上昇と売上の伸びが確認される一方、来客数自体は減少傾向にあります。消費者は必要な商品を必要なときだけ購入するという堅実な消費行動に移行しており、これは消費マインドの変化として見逃せない要素となっています。家電量販店では、新生活需要に伴う高価格帯商品の売上が好調であり、エアコンが前年比127%、冷蔵庫が114%、パソコンが110%といったように客単価が上昇したという報告があります。

飲食業においては、行事やイベントが多い時期ということもあり、客数は多少回復傾向にあるとの報告がある一方で、食べ放題を行っている店舗に比べて客単価が低く、全体の収益確保にはつながっていないケースも多いようです。また、酒類を扱う小売店では、外食控えの影響もあり、飲食店向け・家庭向け共に納品量が減少しているとされており、需要の戻りは限定的です。

観光業は地域経済の中でも比較的好調な分野とされています。特に都市型ホテルや観光型旅館では、インバウンド需要の回復に加えて、卒業旅行などの国内旅行の増加も相まって、集客効果が上乗せされています。観光遊園地でも来場者数が高水準を維持しており、タクシー業界では、お遍路シーズンの開始と共に利用者数が回復傾向にあるとの報告も見られました。ただし、平日と週末の利用客の差が大きく、週末に利用が集中することで車両不足が発生するという課題も存在しています。

一方で、乗用車販売業では販売車両の供給停止や部品メーカーのトラブルによる出荷遅延などの影響で、販売活動に大きな支障が出ており、販売成績の改善には至っていません。また、電気機械器具製造業では、太陽光関連などの再生可能エネルギー事業は一定の動きを見せているものの、自動車関連企業の業績悪化が地域全体に影響を及ぼしているとの報告もあります。

建設業や製造業では、資材価格の高止まりや人材不足が重なり、住宅着工や公共工事の受注動向に鈍化が見られます。今後の動きは予算の執行状況に左右されるとの見方が強く、企業によっては来年度の事業計画の見通しが立っていないという声もあります。鉄鋼業や繊維業の一部では受注が安定しているものの、全体としては大きな成長トレンドは見られず、需給のバランスが依然として崩れている状況です。

雇用関連では、人材派遣会社や職業紹介機関からは求人数や求職者数の大きな変化はみられないとの報告が多数を占めています。年度末にかけてわずかに求職者が動き出してきたものの、動きは鈍く、企業の採用活動も横ばい状態が続いているようです。短期的には求人倍率の大きな変動はないものの、特定の業種や地域で人材が集まりにくいという課題が浮き彫りになっており、とくに中小企業では待遇改善や柔軟な雇用条件の提示が人材確保の鍵となる可能性が高まっています。

このような状況下において、企業の採用担当者が注目すべきは、人材の「確保」から「定着」への視点のシフトです。即戦力人材の取り合いが激化するなかで、待遇や働きやすさ、キャリア形成支援といった要素が採用成功の鍵を握る時代となっています。地域特性や業種ごとの人材動向を的確に把握した上で、自社に最適な採用戦略を構築することが今後の企業成長に不可欠であるといえるでしょう。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ