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2025年3月5日

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国内旅行消費額が6兆4,366億円に到達、観光業界の雇用回復が加速する理由(旅行・観光消費動向調査 2024年年間値及び2024年10-12月期 速報 )

旅行・観光消費動向調査 2024年年間値及び2024年10-12月期(速報)(観光庁)

令和7年(2025年)2月19日、観光庁は2024年10~12月期の国内旅行消費額に関する最新の統計を発表した。今回の調査結果によると、当該期間の日本人国内旅行消費額は6兆4,366億円となり、2019年同期比で27.9%増、前年同期比で14.1%増という大幅な伸びを示した。新型コロナウイルスの影響からの回復が進み、旅行需要が堅調に推移していることが明らかとなった。

この消費額の内訳として、宿泊旅行消費額は5兆3,076億円となり、2019年同期比で35.4%増、前年同期比で15.3%増と顕著な増加を記録した。一方、日帰り旅行消費額は1兆1,290億円で、2019年同期比では1.6%増とほぼ横ばいであったが、前年同期比では8.4%増と順調な伸びを見せている。これは、国内の観光地への長期滞在傾向が強まっていることを示しており、宿泊需要の高まりが観光産業全体の活性化に寄与していると考えられる。

月別の国内旅行消費額をみると、2024年10月の消費額は2兆197億円、11月は2兆3,108億円、12月は2兆1,061億円と、いずれの月も前年同月比で10%以上の増加を示した。特に、11月の消費額は2019年同期比で33.3%増という驚異的な伸びを記録しており、秋の観光シーズンの好調さがうかがえる。この時期には紅葉観光の需要が高まり、国内の主要観光地が多くの旅行者を受け入れたことが背景にあると考えられる。

日本人国内延べ旅行者数に関しても、2024年10~12月期は1億2,700万人と、前年同期比で4.5%増となった。特に、宿泊旅行の延べ旅行者数は7,095万人で、2019年同期比で3.0%増、前年同期比で3.9%増と安定した成長を遂げている。一方、日帰り旅行の延べ旅行者数は5,605万人となり、前年同期比で5.2%増加したものの、2019年同期比では12.4%減少している。このデータから、近年の国内旅行の傾向として宿泊を伴う旅行が増加し、短期の移動型観光よりも、滞在型の観光が重視されるようになってきていることが分かる。

また、1人1回当たりの旅行支出(旅行単価)も上昇傾向にある。2024年10~12月期の旅行単価は50,680円となり、2019年同期比で33.8%増、前年同期比で9.1%増となった。特に、宿泊旅行の旅行単価は74,807円で、2019年同期比で31.4%増、前年同期比で11.0%増と、大幅な伸びを示している。一方、日帰り旅行の旅行単価は20,141円で、2019年同期比で16.0%増、前年同期比で3.0%増となり、こちらも堅調な伸びを見せている。この結果は、旅行者の消費意欲が高まり、高付加価値の観光サービスや宿泊施設への支出が増加していることを示している。

2024年の年間を通じた日本人国内旅行消費額は25兆1,175億円となり、2019年比で14.5%増、前年比で14.6%増という堅調な成長を記録した。このうち、宿泊旅行消費額は20兆3,189億円で、2019年比で18.4%増、前年比で14.2%増となった。一方、日帰り旅行消費額は4兆7,986億円で、2019年比で0.5%増、前年比で16.6%増という結果となった。このデータは、国内旅行市場がコロナ禍以前の水準を超え、さらに拡大を続けていることを示唆している。

また、2024年の日本人国内延べ旅行者数は5億3,925万人となり、前年比で8.4%増となった。うち、宿泊旅行の延べ旅行者数は2億9,305万人で、前年比で4.2%増、日帰り旅行の延べ旅行者数は2億4,619万人で、前年比で13.9%増となった。この結果からも、宿泊旅行が引き続き人気を集めていることが分かる。

観光庁のデータから、今後の国内旅行市場においては、宿泊を伴う旅行のさらなる増加が期待される。また、高付加価値の観光体験や、地域の特色を活かした宿泊施設の需要が高まり、観光産業の多様化が進むことが予測される。特に、国内の観光地では、デジタル技術を活用した新しい観光体験の提供が求められており、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用した観光プログラムが増加する可能性がある。さらに、地域資源を活かした体験型観光の充実が求められ、伝統文化や食体験、自然体験を組み合わせたツアーの人気が高まることが予想される。

企業の採用担当者にとっては、観光業界の回復とともに、人材確保の重要性が高まっていることを認識する必要がある。宿泊業界、観光サービス業、交通業界を中心に、新たな採用ニーズが生まれており、特にデジタル技術を活用した観光コンテンツの開発やマーケティングに関する専門人材の需要が増加している。今後の採用市場においては、観光関連のスキルを持つ人材の確保が、企業の成長戦略の一環としてますます重要になると考えられる。

⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ