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2025年1月12日

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国内鉄道のバリアフリー化進捗、全体の93.9%が段差解消を達成

鉄軌道における駅や車両のバリアフリー化の進捗状況 ~令和5年度末 鉄軌道の移動等円滑化に関する実績の調査結果概要~(国交省)

鉄道局が公表した令和5年度末時点での調査結果によると、国内鉄道におけるバリアフリー化が着実に進展していることが明らかになりました。主要な指標として挙げられるのは、駅や車両におけるバリアフリー設備の整備状況です。全国の鉄軌道駅のうち、エレベーターなどの段差解消設備を整備した駅は全体の93.9%に達しており、ホームからの転落を防止するための設備が設置された駅も83.9%に上っています。さらに、障害者対応型トイレを備える駅の割合は92.4%と高い水準に達しました。

車両についても進捗が見られ、車椅子スペースを設置した鉄軌道車両は全体の59.9%に達しました。また、車両間の転落防止設備や案内装置を備えた車両の割合も向上しています。これらの進捗は、平成18年に施行された「バリアフリー法」や、令和2年に施行された新基準への適応が主因とされています。

駅別の整備状況に注目すると、平均利用者数が3,000人/日以上の駅を中心に整備が進められています。このカテゴリーの駅では、視覚障害者誘導用ブロックの設置率が45.3%と課題が残る一方で、ホームドアの整備が進展しており、対象駅数のうち2,647番線が整備済みです。さらに、車椅子使用者が単独で乗降できるホームと車両の段差・隙間を縮小する取り組みも進んでおり、全体で1,148駅が目標値を達成しています。

法令に基づく基準達成の目標として、令和7年度までに鉄軌道駅全体で3,000番線の整備が求められており、今回のデータはこの目標に向けた重要な中間点といえます。特に、利用者が多い駅においては整備がほぼ完了している一方で、中小規模の事業者が運営する駅や路面電車では課題が残ります。これらのエリアでの整備促進が今後の焦点となるでしょう。

これに加え、案内設備や障害者対応型券売機、拡幅改札口の整備率も注目すべき項目です。案内設備は全駅の77.1%、障害者対応型券売機は90.6%、拡幅改札口は96.8%が整備済みとなっています。これらの設備は、移動の利便性を大幅に向上させるだけでなく、鉄道利用者全体の安心感にも寄与します。

車両のバリアフリー化においては、車椅子対応トイレの整備が特に進展しており、トイレを有する編成のうち車椅子対応トイレが設置されている編成の割合は高い水準にあります。また、新たに導入される車両では、新基準に適合する設備が標準装備となっており、将来的には全車両のバリアフリー化が期待されます。

このような整備の背景には、高齢化社会の進展や、観光立国を目指したインバウンド対応の重要性が挙げられます。鉄道利用者の多様化に伴い、国内外のすべての人が安心して利用できる鉄道環境の実現は急務です。政府や鉄道事業者による持続的な取り組みが求められると同時に、地方自治体や地域住民との連携も重要な役割を果たすでしょう。

今後、令和7年度の目標達成に向け、さらなる整備が進むことが期待されます。具体的には、中小規模の鉄軌道事業者への支援策や、技術革新を活用した効率的な整備方法の導入が鍵となるでしょう。また、公共交通機関全体のバリアフリー化を一層推進するための政策的な支援や、実施状況の透明性確保も引き続き重要です。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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