労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 国民医療費46兆円超に達する、2022年度の詳細発表で明らかになった負担構造とは

2024年10月21日

労務・人事ニュース

国民医療費46兆円超に達する、2022年度の詳細発表で明らかになった負担構造とは

令和4(2022)年度 国民医療費の概況(厚労省)

厚生労働省は2022年度の国民医療費を公表し、医療費の総額が46兆6,967億円に達したことを発表しました。これは前年度と比較して3.7%、金額にして1兆6,608億円の増加です。さらに、人口一人当たりの医療費は37万3,700円で、前年から4.2%増加しています。この数字は、医療機関において保険診療の対象となった傷病の治療費用を含んだものであり、公費や患者の負担、医療保険による給付金などを合算したものです。ただし、正常な妊娠・分娩、健康診断、予防接種など治療以外の費用は含まれていません。

医療費は制度別に分類されており、最も大きな割合を占めるのは医療保険給付分で、21兆1,015億円、全体の45.2%を占めています。また、後期高齢者医療給付分は16兆4,544億円、35.2%となっており、高齢化社会が進行する中で高齢者医療費の増加が顕著です。公費負担医療給付分も3兆4,884億円と7.5%を占めており、財源別にみると国庫や地方自治体からの支出も大きな割合を持っています。

財源の内訳としては、国庫からの支出が11兆7,912億円で全体の25.3%、地方自治体からの支出が5兆8,925億円で12.6%となっており、保険料のうち事業主が負担する部分が10兆1,316億円、被保険者が負担する部分が13兆2,189億円で、それぞれ21.7%と28.3%を占めています。また、患者自身が負担する部分は5兆4,395億円で11.6%です。これらのデータは、医療費が増加し続けている現状を示し、高齢化の進行や医療技術の進歩に伴う医療費の増加が引き続き懸念されています。

特に、後期高齢者医療費の割合が増加傾向にあることは、今後の医療財政の持続可能性に対する課題として注目される点です。これにより、社会全体で医療費の効率的な配分や負担の公平性が求められるようになっています。政府や地方自治体は、医療制度改革や予防医療の推進に力を入れることで、医療費の増加を抑制し、医療サービスの質を保ちながら持続可能な医療体制を整える必要があります。

今回の発表における国民医療費の増加は、COVID-19の影響も一定の要因となっており、感染症対策に関連する医療費が増加したことも含まれています。一方で、予防接種や健康診断など、保険適用外の費用は含まれていないため、実際の医療関連費用はさらに高い可能性があります。今後、医療費のさらなる増加を抑えるためには、予防医療の強化や健康管理の促進、効率的な医療資源の配分がますます重要となるでしょう。

さらに、医療費の負担構造をみると、国庫負担の増加が目立っており、特に高齢者医療や慢性疾患の治療に対する公費負担が重くなっています。これに対して、患者負担分の割合が11.6%と低めに抑えられている点は、社会的な医療制度の恩恵を反映していますが、今後の医療費増加を考慮すると、患者負担の見直しが議論される可能性もあります。

このように、医療費の増加は国全体の財政負担にも影響を与えるため、医療制度全体の見直しや、より効率的な医療サービス提供のための改革が必要とされています。特に、後期高齢者医療制度や、医療保険給付の効率化が喫緊の課題となるでしょう。また、医療費の削減に向けた取り組みとしては、地域医療の強化や在宅医療の普及、さらにはICTを活用した医療サービスの提供が有効とされています。

今後の医療費の推移は、少子高齢化や人口減少の進展とともに、ますます注目されるテーマとなるでしょう。医療の質を確保しながら、持続可能な医療制度を構築するためには、社会全体で医療費の負担をどう分担し、効率的な医療提供体制をどう構築していくかが問われています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ