2024年12月26日
労務・人事ニュース
国際的な洪水対策の集大成!「国際水防ハンドブック」発刊で防災知識を世界へ
我が国の水防技術を世界に広めます!! ~日・米・英・蘭4ヶ国等の連携による初めての「国際水防ハンドブック」の発刊~(国交省)
令和6年12月10日、国土交通省が主導し、米国陸軍工兵隊、英国環境庁、オランダのインフラ・水管理省との共同作業により、「国際水防ハンドブック」が発刊されました。この文書は、洪水防御に関する緊急対応やリスク管理の好事例を世界規模で取りまとめた初の試みで、12か国71名の専門家や研究者がボランティアとして執筆・編集に参加しました。ハンドブックの中では、日本の防災技術と知見が中心的な役割を果たし、各国の好事例と共に包括的に記されています。
ハンドブック作成の背景には、2016年に欧州各地を襲った大規模洪水があります。この災害時、オランダやイギリス、アメリカが共同で水防チームを派遣した経験から、国ごとの管理体制や技術の違いが障害となる場面が浮き彫りになりました。この課題を受けて、オランダの主導の下、各国が持つ洪水対策の知見を集約し、国際的な水防の指針となる文書の必要性が認識されたのです。そして2022年に本格的な編集作業がスタートしました。
ハンドブックは17の章で構成され、洪水リスクの評価や緊急時の対応、事後復旧までの一連のプロセスが網羅されています。また、日本の具体的な事例も豊富に取り入れられており、水防団や自治体がどのように協力して防災活動を行うべきかを示しています。たとえば、国土交通省が発行する「水防計画作成の手引き」を基に、全国統一の水防計画が整備されている点や、水防専門家派遣制度を活用した知識・技術向上の取り組みが紹介されています。さらに、大規模な総合水防演習の実施を通じて、現場での実践的な訓練を提供している様子が記されています。
日本独自の技術としては、堤防や水門、遊水地といった洪水防御施設の活用例が挙げられています。加えて、「土のうの作り方・積み方」といった基礎的な技術から、高度な排水ポンプの活用方法まで、多岐にわたる実践的な情報が含まれています。これらの情報は、防災現場での即時対応や、洪水後の復旧活動において大きな参考となるでしょう。
また、ハンドブックのもう一つの特徴は、災害時の情報共有と連携について詳細に述べている点です。SNSや多言語発信の活用を通じて地域住民に情報を届ける方法や、自治会やボランティア団体との連携の重要性が強調されています。このような取り組みは、各地域が主体となった災害対応の強化に寄与するとされています。
編集に関しても、日本防災プラットフォームや八千代エンジニヤリングが統一的なデザインを担当し、視覚的にも理解しやすい仕上がりとなっています。423ページにわたるハンドブックは、防災に関わる専門家だけでなく、一般市民にも参考となる内容です。
このハンドブックは、日本だけでなく、洪水被害に苦しむ多くの国々において活用されることが期待されています。防災活動の参考書として、人材育成や国際協力の場面で広く役立つでしょう。各国の防災従事者が自国の条件に適した好事例を取り入れることで、洪水被害の軽減に向けた新たなステップを踏み出すことが可能となるのです。
日本は、これまでも国内外での防災活動を通じて信頼を築いてきました。このハンドブックの発刊を通じて、さらにその役割を拡大し、国際社会の中でのリーダーシップを発揮することが期待されています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ