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2024年6月9日

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在宅障害者の生活実態調査結果発表!全国約5,400世帯対象、6,100千人の障害者手帳所持者数が明らかに

「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」の結果を公表します(厚労省)

令和6年5月31日、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課より、「令和4年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」の結果が発表されました。この調査は、在宅で生活する障害児や障害者、難病患者、そして日常生活に困難を感じる人々の実態を明らかにするために実施されました。調査結果は、障害者施策の推進に向けた重要な基礎資料となることが期待されています。

調査は令和4年12月1日を基準日として、全国約5,400の調査区で実施されました。調査票は24,427人に配布され、最終的に14,079人から有効回答が得られました。回収率は59.9%でした。これらのデータに基づき、障害者手帳を所持している人の数は約6,100千人と推計され、前回調査から506千人の増加が見られました。具体的には、身体障害者手帳所持者が4,159千人、療育手帳所持者が1,140千人、精神障害者保健福祉手帳所持者が1,203千人という結果になりました。

身体障害者手帳所持者の中では、肢体不自由が最も多く、全体の38.0%を占めました。また、年齢別に見ると、60~69歳の年齢層で減少が顕著でした。一方で、療育手帳所持者は、特に0~17歳の年齢層で増加が見られ、全体の24.8%を占めました。

精神障害者保健福祉手帳所持者については、2級が最も多く、全体の50.5%を占めました。各年齢層での増加が見られ、特に若年層での増加が顕著でした。これは、精神障害に対する認識の変化や診断数の増加が影響していると考えられます。

さらに、医師から発達障害と診断された者の数は872千人、高次脳機能障害と診断された者は227千人、難病と診断された者は1,264千人と推計されました。これらの数字は、障害者への理解を深め、適切な支援を行うための基礎データとして非常に重要です。

調査では、障害者の日常生活における具体的な困難も詳細に報告されています。例えば、心身の状態に関する質問では、「歩行に関する困難」が高い割合で示されました。「とても苦労する」または「全くできない」と答えた人々の割合が多く、日常生活のしづらさが浮き彫りになっています。また、食事、衣服の着脱、排泄、入浴といった基本的な生活動作においても、多くの人が困難を感じていることが明らかになりました。

社会生活の状況に関する調査結果も示されています。日中の過ごし方に関しては、「仕事や教育・保育以外」で過ごす割合が最も多く、その中でも「主に家で過ごしている」という回答が多く見られました。この「家で過ごす」には、家事や育児、介護などが含まれます。また、障害福祉サービスの利用状況についても調査が行われ、およそ2割の人々が何らかのサービスを利用していることが分かりました。しかし、多くの人々がサービスの利用に対して困難を感じており、特に「利用の基準に当てはまらず利用できない」や「サービス事業者・提供者がなく利用できない」といった理由が挙げられました。

特に必要とされる支援についての調査結果も報告されました。「手当・年金・助成金等の経済的援助」が最も多く求められており、次いで「身近な医療機関に通院して医療を受けること」や「医療費の負担軽減」が続きました。教育や就労支援も多く求められており、地域社会との交流機会の拡大やバリアフリー化など、社会参加を促進するための支援も重要視されています。

この調査結果は、今後の障害者施策の推進に向けた貴重な資料となります。障害を持つ人々の生活の質を向上させるためには、具体的なニーズに基づいた支援策が必要です。政府や自治体は、このデータを活用して、障害者福祉の現状を改善し、全ての人々が安心して暮らせる社会の実現を目指して、さらなる取り組みを進めていくことが求められます。

今回の調査結果から、特に注目すべき点は、障害者手帳を所持していないが生活に困難を感じている人々の存在です。これらの人々も含めた支援策の拡充が必要です。また、障害者福祉サービスの利用率が低い現状を改善するために、サービスの提供体制の強化や利用手続きの簡略化も求められています。

さらに、地域社会との連携を強化し、障害者が地域で安心して暮らせる環境を整えることが重要です。地域の理解を深めるための教育や啓発活動も必要です。障害を持つ人々が社会の一員として自立し、充実した生活を送るためには、社会全体での協力が不可欠です。

この調査結果を受けて、今後どのような具体的な施策が講じられるかが注目されます。障害者施策の改善に向けた動きが加速し、全ての人々が平等に暮らせる社会の実現が期待されています。障害を持つ人々の声を反映した政策の実現に向けて、政府、自治体、そして地域社会が一体となって取り組むことが求められます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ