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2025年1月27日

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在米日系企業が直面する移民政策の厳格化と就労ビザ制度改革への懸念と期待

米国トランプ新政権の政策に関するクイック・アンケート調査 ―半数が様子見、個別政策では関税で高い警戒感―(JETRO)

2025年1月17日、ジェトロによる調査が発表され、1月20日に発足を控えるトランプ政権第2期に関する在米日系企業の懸念と期待が明らかになりました。この調査は、2025年1月8日から10日にかけて、在米日系企業694社を対象にオンライン形式で実施され、260社から有効回答を得たものです。以下では調査結果の詳細を解説します。

特に注目されたのは、新政権が掲げる関税政策に対する高い警戒感です。回答企業の72.4%が追加関税によるマイナスの影響を予想しており、輸入価格の上昇や納期の遅延といった具体的な課題が挙げられています。また、不法移民対策の強化や就労ビザの審査厳格化、さらには「バイ・アメリカン」政策の推進も大きな懸念材料となっており、これらが労働力の確保を一層困難にする可能性が指摘されています。

政策全体の影響については、回答企業の約半数(48.1%)が「現時点では分からない」と回答しましたが、「マイナスの影響」を予想する企業は25.0%、「プラスの影響」を予想する企業は10.8%に留まりました。業種別に見ると、自動車部品関連の企業の52.2%がマイナスの影響を予想しており、特定の業界ではより深刻な懸念が広がっていることが分かります。

一方で、法人税減税やインフラ整備、エネルギー政策の緩和など、新政権の経済政策に対する期待感も浮き彫りになりました。税制改革については47.3%がプラスの影響を見込んでおり、インフレ対策やエネルギー関連政策への期待もそれぞれ34%台と高い割合を示しています。これらの政策がビジネス環境の改善に寄与すると期待されていることが伺えます。

特に関税政策では、一律10~20%の追加関税が全般的に大きな影響を与えると考えられています。さらに、中国やメキシコからの輸入品に課される追加関税がサプライチェーン全体に深刻な影響を及ぼすとの懸念もあり、日系企業にとっては対策が急務となっています。

現時点で取られている対策としては、追加関税への対応が最も多く挙げられています。米国内での製造・調達の強化、調達先や生産拠点の見直し、製品価格への転嫁検討など、企業が多様な方策を模索していることが分かりました。一部企業は生産や出荷の前倒しを進めるなど、リスク軽減に向けた具体的な行動を既に開始しています。

しかしながら、新政権の政策が正式に発表されるのを待ち、その内容に応じて対策を検討する姿勢を示す企業も少なくありません。こうした慎重な対応は、政策の不透明性が依然として高いことを反映していると言えるでしょう。

今回の調査結果は、日系企業が直面する現状を如実に示しており、今後の政策動向に応じた迅速な対応が求められます。トランプ政権の第2期における政策が、どのように企業活動に影響を与えるか、注視していく必要があります。

⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ

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