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2024年12月26日

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地域格差を解消!死因究明体制の充実を目指す最新取り組み

令和6年版死因究明等推進白書 第5章 死体の検案及び解剖等の実施体制の充実(厚労省)

日本国内では、死因究明の体制整備が進められており、異状死に対する解剖や死亡時画像診断を中心とした実施体制の充実が注目されています。警察や地方自治体、医療機関が連携し、解剖や診断に必要な設備や費用の補助制度が導入されてきました。以下に、その具体的な取り組みや進展について詳述します。

厚生労働省では、都道府県による解剖や死亡時画像診断にかかる費用を支援する「異状死死因究明支援事業」を継続的に実施しています。この事業では、解剖や画像診断を行うための費用を補助することで、地域ごとの死因究明体制の強化を目指しています。令和5年度には、39都道府県から補助金交付申請が受け付けられ、交付が決定しました。補助内容には、解剖費用や画像診断にかかる経費のほか、地方協議会の開催費用も含まれており、死因究明のための包括的な支援が行われています。

また、死亡時画像診断システム等の整備にも重点が置かれています。例えば、CTやMRIなどの診断装置の購入に対する補助が11の都道府県で実施され、設備面での充実が図られています。これにより、死亡時の病態把握や死因究明における正確性が向上し、解剖を補完する形で画像診断の活用が進められています。

解剖の実施に関しては、司法解剖や調査法解剖、監察医解剖、承諾解剖などが実施されています。令和5年度の解剖率は全国平均で10.3%と、一定の水準を維持していますが、地域による格差が依然として存在します。特に、公衆衛生上の観点から必要な解剖が行われていない地域が28都道府県に及ぶ現状が指摘されており、地域間での対応の違いが課題となっています。

地域ごとの特色ある取り組みの一例として、茨城県の筑波剖検センターが挙げられます。このセンターでは、承諾解剖や調査法解剖を中心に、検案や死亡時画像診断も積極的に実施しています。令和5年度には、86件の解剖、359件の検案、456件の死後CT検査が行われました。これらの業務を通じて、死因究明における精度向上が図られています。特に、死亡時画像診断を活用することで、解剖の精度が向上し、正確な死因判定に寄与しています。

また、令和6年に発生した能登半島地震では、日本法医学会が現地に検案医を派遣し、大規模災害時における死因究明体制の強化が図られました。震災直後から警察や医療機関と連携して検案が行われ、17日間で131体の遺体の検案が実施されました。この対応は、大規模災害時における迅速かつ効率的な死因究明体制のモデルケースとして評価されています。

さらに、政府は死因究明の推進に向けた研究や体制整備を進めています。例えば、死亡診断書や死体検案書の電子的交付についての検討が行われ、地方公共団体と医療機関が連携したシステムの導入が進められています。この電子化により、手続きの効率化やデータ管理の向上が期待されています。

一方で、課題も多く残されています。法医学を専門とする医師の不足や施設の老朽化、設備の不十分さが挙げられます。例えば、監察医制度が整備されていない地域では、解剖の実施が困難であり、死因究明における地域格差が顕著です。こうした課題を解消するためには、さらなる人的資源の確保や施設設備の整備が必要です。

以上のように、日本における死因究明体制の整備は着実に進展しているものの、地域間格差や医療資源の不足といった課題も依然として存在しています。今後も、政府や地方自治体、医療機関が連携し、死因究明体制の充実を図ることが求められます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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